社会学とは、「共同性」の成り立ちを探求する学問です。社会の中にはたくさんの異なる人々がいます。性別、年齢、宗教、民族などの属性も違いますし、学歴や職業、収入など社会的地位も多様です。価値観や性格も様々ですし、対人関係の取り結び方にもたくさんの様式があります。
それだけ多様な要素がありながら、人々が同じ社会を作って生きていくことができるのはなぜなのか。逆に言えば、社会を維持するための共同性が壊れてしまったらどのような社会問題が生じてしまうのか。そうした仕組みを研究するのが社会学です。
いずれ始まる移民の大量招致。排他主義を抑えるために
ぼくは統計的なデータ解析を駆使して社会のあり方を探求しています。最近の研究の一つは、日本における排外主義の特徴を明らかにし、その形成過程を特定することです。グローバル化にともなって移民や難民が国境を越え流入してくると、旧来からの住民の間に排他主義的な反応が生じることが知られています。
日本は今後、国家を維持することが難しいほどハイペースで少子高齢化が進んでいきますので、いずれどこかのタイミングで、移民の大量招致によって、生産年齢人口を補う政策を採用せざるをえません。そうなれば民族構成は多様化し、排外主義が高まると予想されます。排外主義を抑えながら新たな社会の共同性を模索するためには、まず排外主義という現象そのものについて詳しく知る必要があります。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→あらゆる業種に進出していて、特に一般的な傾向はありません。一般企業が多いですが、中にはコミュニティスペースのオーナーになったり、弁護士やカウンセラーなどの専門職に就いた卒業生もいます。
- ●主な職種は→一般事務と営業が中心ですが、人事的な部署がやや多いです。
分野はどう活かされる?
社会学では、データを体系的に収集し分析する社会調査を学問的ツールとして利用しますので、そのスキルはあらゆる職業分野で調査業務の役に立つでしょう。
受験をお待ちしています。現代社会を解読し、みずから生きる道を探索するための武器を一緒に探しましょう。
専任教員として日本最多レベルの社会学者数を誇る、日本を代表する社会学教育機関です。社会学を学びたいなら、まずここを選択肢に入れるべきです。学部と大学院の連携教育でも定評があります。
興味がわいたら~先生おすすめ本
断片的なものの社会学
岸政彦
社会学者の「まなざし」を知るために、オススメの本。路上のギター弾き、夜の仕事、元反社会的組織、在日コリアンなど、様々な人々へのインタビューとエッセイから構成されています。「何事もない、普通の」物語から語り手の人生を感得させるような本。安易に対象を解釈しようとするのではなく、抽象化し分析してしまうと解釈からすり抜けていってしまうような、平凡で普通の、何かを通じて「理解できない」対象に近づいていきます。インタビューを含む社会調査は、社会学という学問の最大の学問的特徴の一つだが、必ずしも「事実」を外部から客観的に観察するためではありません。社会学が重視するのは、人々によって認識されている「意味」です。この本からは、語りの「意味」に寄り添おうとする社会学者の態度を知ることができるでしょう。 (朝日出版社)