越えてくる者、迎え入れる者 脱北作家・韓国作家共同小説集

ト・ミョンハク、イ・ジミョン、ほか

生きる苦しさに耐えられず、北朝鮮から脱出する人々がいます。多くは韓国で定住し、2016年には3万人を超えました。この本は、北朝鮮から脱出してきた人が韓国で書いた小説6編、韓国の人が北朝鮮の人々との関わりを書いた小説7編を翻訳したものです。

その一つに、北朝鮮から脱出してきた20代の人が書いた『父の手帳』という小説があります。10代後半に家族で北朝鮮から脱出し、第3国を流転するうちに母・姉と生き別れになりました。韓国に来てから大学に入学した後、父が病死し、たった一人になります。その自分のことを題材にしています。

韓国と北朝鮮は、たかだか70年あまり前までは、一つの共同体だったところです。言葉も同じものです。しかし70年あまりの間に、韓国と北朝鮮は、まったく違った体制になっています。言葉は通じるのになじめない暮らしを続ける青年の心のうちがつづられた文章からは、縮めようのない周囲との距離間が伝わってきます。日本の10代の人たちにも、伝わるものがあると思います (訳;和田とも美/アジアプレス・インターナショナル)

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