電子・電気材料工学

ミクロ世界に閉じ込められた特殊な光から、ウイルスの検査を迅速に!


大木義路 先生

早稲田大学 先進理工学部 電気・情報生命工学科/先進理工学研究科 電気・情報生命専攻/共同原子力専攻

どんなことを研究していますか?

光の非常に面白いふるまいに、「近接場光」というものがあります。入射した光がすべてを反射する現象を、全反射といいます。光が全反射したとき、その背後ににじみ出るような特殊な光が近接場光です。この特殊な光は、ふつうの光と異なり非常に短い距離しか伝播しません。言い換えると、光は閉じ込められています。ところがある光学材料を用いると、近接場光は散乱し、ふたたび伝播光となります。それによって、光学顕微鏡では見られなかった波長以下の非常にサイズの小さな物体を観測することができるようになります。この近接場光を見えるようにする光学材料が、誘電体です。

これからの時代の花形となる光学材料

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誘電体とは、電気を通さず、光を通す材料のことです。電気を通さないから絶縁体として利用されるほか、光学材料としても重要です。私は、これからの時代の花形となる新しい光学材料として、非常に小さなミクロの世界に閉じ込められた近接場光を用いたセンシング技術の開発をしています。具体的には、これを用い、ウイルスや血液型の検出に取り組んでいます。従来1時間かかっていた検査を、もっと迅速に行うことができるようになり、緊急性の高い手術や輸血の現場で役立てることができます。

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研究室のみなさん

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→電機メーカー、電力会社、鉄道会社、総合研究所、証券会社
  • ●主な職種は→企画、開発、研究
分野はどう活かされる?

例えば、大学・大学院での専門を活かして、研究所の研究者になった人もいます。また、専門を活かすと共に培った幅広い視点で、役所での専門官や、企業での開発に従事する人もいます。

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授業の様子

先生の研究に挑戦しよう

水とプリズムとガラスで全反射させる条件を作っておき、ガラスの上に油の膜がつくと反射の状況がどう変わるか調べてみましょう。光を用いた物質検出センサーの原理の基礎が理解できます。

興味がわいたら~先生おすすめ本

高校数学でわかるシュレディンガー方程式 量子力学を学びたい人、ほんとうに理解したい人へ

竹内淳

電気電子材料物性を支える量子力学の基礎であるシュレディンガー方程式の全体像がつかめる。式の展開は極めて丁寧に書かれており、紙と鉛筆がなくても式の展開を追うことができる。量子力学は物質中での電子や光の振る舞いを決めているため、電気材料や電子装置に関係する全ての材料の基礎となる学問の根底に位置するとも言える。 (ブルーバックス)


高校数学でわかるマクスウェル方程式 電磁気を学びたい人、学びはじめた人へ

竹内淳

数学に立脚しながらも、数学の苦手な人にも、電気電子工学の中で一番重要なマックスウェル方程式を理解できるように、丁寧に書かれている。姉妹書『高校数学でわかるシュレディンガー方程式―量子力学を学びたい人、ほんとうに理解したい人へ (ブルーバックス)』もおすすめ。 (ブルーバックス)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。