親の離婚は、子どもの生活環境に大きな変化と影響を及ぼします。日本では約9割が、司法の介入しない、つまり夫婦の話し合いによる協議離婚です。単独親権制度の我が国の場合、およそ8割程度の親権を母親がとっていますが、離婚後の子育てについて、もう片方の親、つまり別居親の責任が問われることはほとんどありません。面会交流や養育費など、離婚後の子どもの養育について、先進国と呼ばれる国の中では日本は非常に立ち遅れているのが現状です。
私は子ども学の観点から、親の離婚後の子どもの発達と適切な養育に関する研究を中心に行っています。心理学や社会学、法学などの研究者、そして弁護士や家庭裁判所調査官といった司法関係者、さらに面会交流を支援する民間支援者などが連携し、離婚・再婚家族を支援し、子どもの成長を支える「日本離婚・再婚家族と子ども研究学会」も立ち上げました。
親の離婚後の子どもの精神発達に関する研究―面会交流のあり方と養育費授受の影響
面会交流のあり方と養育費の授受が子どもの発達に及ぼす影響を解明し、離婚後の子どもの利益の実現に向けた問題提起を行います。
この研究では、質問紙およびインタビュー調査とNPO法人が運営する面会交流支援機関でのフィールドワーク的調査、そして海外における離婚後の子どもへの社会的なサポート体制について分析し、発達に応じた子どもの意見の尊重のあり方、子どもの視点に立った面会交流の意義と望ましい方法、そして子どもの発達において養育費の有する社会・心理的な重要性に関するガイドラインの作成を目指しています。
一般的な傾向は?
- ●主な業種→一般企業から財団法人、社会福祉法人、地方公務員(県庁、市役所、教員)など多岐にわたります。
分野はどう活かされる?
大学院進学者もいます。その中には、臨床心理士資格取得のために、第1種指定校に進学した人もいます。また、大学院に進学して公認心理師を目指す学生もいます。
人間とは何かについて、ともに探求しましょう。
人間文化学科は、心やことばの問題を通して人間の本質を探究するとともに、日本および世界の歴史や文化についての理解を深めることにより、人間とその文化の深層を見抜き、よりよい人生、よりよい社会の構想を提案できる力を磨く学科です。