持続可能システム

河川のDNAからアユの数がわかる~「環境DNA」を用いた河川モニタリングの開発


赤松良久 先生

山口大学 工学部 社会建設工学科/創成科学研究科 建設環境系専攻/環境DNA研究センター

どんなことを研究していますか?

近年の環境測定技術の進歩は著しく、例えば汲んできた河川水を調べるだけで、その河川に棲息するアユのDNAがわかります。このような河川のDNAを分析し、河川に生息する生物の個体数・生物量を調べる環境DNA技術が注目されています。環境DNA技術を用いた私の研究では、水中のアユの環境DNA量と1㎥あたりのアユの個体数との間には、強い関連があることがわかりました。アユは清流を好むため、アユの数がわかれば、河川がきれいかどうかの指標になります。

土木の枠を超え、生物分野と連携した研究

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私の専門は土木工学ですが、その視点から持続可能システムの分野にアプローチし、従来の土木の枠を超えて、生物・生態系や地球環境、防災・減災に関わる幅広い研究を行っています。持続可能システムの分野はとりわけ連携が必要です。私たちも生物、生態系など他分野との学際的研究に力を入れています。人類の持続的な発展のための、防災と環境の調和した自然共生型の社会システムを作り上げることが目標です。

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→建設コンサルタント、公務員
  • ●業務の特徴は→社会基盤システムの計画や管理にかかわる仕事

先生の学部・学科はどんなとこ

山口大学工学部社会建設工学科では、豊かな生活を支える社会基盤の整備、安心・安全のための防災システムの構築、そして、自然と調和した社会を実現する環境保全などの分野に貢献できる技術者を養成しています。さらに、東アジア国際コースを開設し、世界に通用する技術者の育成に情熱を持って取り組んでいます。

先生の研究に挑戦しよう

身の回りの自然環境の変化や気候の変化について調べてみましょう。

興味がわいたら~先生おすすめ本

生命とは何か 物理的にみた生細胞

シュレーディンガー

著者は、生命の特質を「すべての物理現象に押し寄せるエントロピー(無効エネルギー)増大の法則に抗して、秩序を維持しうること」と指摘している。地球を一つの生命体として考えた時、社会システムの持続可能性や自然共生のカギとなるのは、対象とする系内のエントロピーの増大をいかに防ぐか、ということになる。「生命との本質」と「持続可能なシステムの本質」は共通しているとも考えられるため、その観点からぜひこの名著を読んでもらいたい。 (岡小天、鎮目恭夫:訳/岩波文庫)


風の谷のナウシカ

1984年に制作された、宮崎駿監督による長編アニメ映画。架空の世界における、人類と生物、戦争による環境の破壊や残された者の調和を描いたファンタジー作品。自然破壊と人類の発展のバランスについて考えさせられる。 (宮崎駿:監督)


川のなんでも小事典

土木学会関西支部:編

地球上の水と物質循環の大動脈である川の仕組みについて、わかりやすく説明されている。川の形、流れ、その生態系、川をつくり治める知恵、川を使い楽しむ知恵など、川を知り川と共生するための知識が得られる。 (ブルーバックス)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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