一つの細胞が分裂を繰り返し、次の世代へとDNA遺伝情報がきちんと引き継がれることが「遺伝」の役割です。DNAは太陽光の紫外線はもちろんのこと、自らの呼吸により生じる酸化物によっても傷つけられ、遺伝情報は絶えず変化する危険性があります。私の研究室は、DNAの損傷とこれを修復する仕組み、傷を見つけたらまず細胞分裂を止める仕組みを調べています。
DNA二本鎖の修復ができる
実験材料として、遺伝子研究のモデル生物として有名なアカパンカビを用います。このアカパンカビを使って、標的とする遺伝子の塩基配列にDNA断片を挿入する「遺伝子ターゲティング」という遺伝子の改変法を開発しました。この方法を使うと、DNA二本鎖の修復ができることを見出しました。その後この方法は、動物細胞でも、修復のための遺伝子変換効率が上がることが報告されています。また最近、私たちはこの遺伝子ターゲティングが、植物細胞でも有効であることを明らかしました。
アカパンカビは、大腸菌などの原核生物や、単細胞の菌類である酵母などと比べて、よりヒトに近いと考えられます。アカパンカビであれば倫理的な制約を受けないで、生命現象についての基礎的知見を得ることができるのです。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→製薬、医療、食品
- ●主な職種は→研究、開発、製造、品質管理
- ●業務の特徴は→生物学として学んだことが生かせる
分野はどう活かされる?
医薬品開発、医薬品販売、安全な食品の開発・製造・品質管理
興味がわいたら~先生おすすめ本
遺伝学電子博物館
国立遺伝学研究所による遺伝学に関わるお話、研究成果、トピック等がわかりやすく説明・紹介されているサイト。「遺伝学とは」「遺伝学の歴史」などに区分けされ、「アニメで学ぶ遺伝学」のコーナーでは「クイズ遺伝学」を掲載。「生物・ザ・ムービー」のコーナーでは、遺伝学研究所の研究者により提供されたいろいろな生物(マウスや線虫など)の動画を視聴することができる。