金属・資源生産工学

摩耗のスペシャリスト。製鉄所の過酷な環境に耐える材料を開発


清水一道 先生

室蘭工業大学 理工学部 創造工学科 機械ロボット工学コース/工学研究科 生産システム工学系専攻

どんなことを研究していますか?

鉄鋼業は、土木・建築・自動車・鉄道・電気機械・造船などに欠かせない鋼材を生産する産業として、重工業を代表する基幹産業の一つです。当然ながら、鉄づくりには、鉄鋼製造設備が重要です。

しかし日本の製鉄所では、製鉄設備に用いる製鉄圧延ロールをはじめとする主要部品や、高温の粉体の流れにさらされる各種部材で、摩耗や熱亀裂、腐食などの損耗が激しく、機能保持やコストが、長年の課題となっています。例えば、耐摩耗材料の寿命は数か月程度から数年で、定期的な交換が必要です。高温、高圧、高負荷などが非常にかかる過酷な製鉄設備の環境に対応する、さらなる長寿命化した材料を必要としているのです。

耐摩耗材料を評価、加工する技術も重要

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私たちの研究室は、「摩耗のスペシャリスト」を自負しています。常温から高温(900℃)までの摩耗機構の解明に取り組んでいます。そして、耐摩耗性・耐熱性の高い材料の開発に取り組んでいます。

さらに、これら耐摩耗材料の実用化ニーズに結びつける技術開発として、強度評価の研究、切削の困難な難削材の加工技術の研究を行っています。材料が高性能になると、それを評価する技術や、加工する技術も高性能なものが求められるのです。

これらの材料開発や技術の確立により、耐摩耗材料やそれに関連する機械を扱う企業に対して、技術提供が期待できます。「高付加価値を追求し続けること」が研究者の使命です。

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研究風景。X線CTを利用して内部の欠陥を確認しています。

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→自動車や建機メーカー
  • ●主な職種は→製造管理や研究開発
分野はどう活かされる?

機械工学として重要な四力(材料力学、流体力学、熱力学、機械力学)は、機械を実現する上で不可欠な学問であり、これら四力の知見にプラスして設計・加工や製品開発を行っています。

先生から、ひとこと

挑戦しなければチャンスはありません。一緒に、ものづくりをしましょう。

先生の学部・学科はどんなとこ

ものづくりに関わる実践的な教育、ものづくりを通した地域との交流を行っています。自然豊かなものづくりのまち室蘭の環境を生かして、産業界で活躍しつづける幅広い理工系人材の育成、もの・価値づくりに貢献できる学生を育てる工業大学ならではの情報教育も行っています。

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鋳造実習。溶解した鉄を取り出すところ

先生の研究に挑戦しよう

【テーマ例】
・ピアノ線を加熱・冷却して、バネ製作
・金属(低融点合金)の溶融凝固過程調査

興味がわいたら~先生おすすめ本

トコトンやさしい鋳造の本

西直美、平塚貞人

基幹産業の基盤を支える鋳造技術。これは溶けた金属を型に入れて、所望の形状にする技術だが、基本的な内容が誰にでもわかるようにマンガで説明されている。大仏、マンホール、梵鐘などの、身の回りの製品の作り方や、鉄を主体とした金属の使用方法などを説明している。 (日刊工業新聞社)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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