気候変動、生物多様性、食料生産の同時解決に向けて
コンピューターシミュレーションで地球的課題を分析
私は統合評価モデルというエネルギー、経済、食料、土地利用、生物多様性などを統合的に解析するコンピューターシミュレーションモデルを用いて、気候変動に関連する研究を行っています。気候変動に関する研究の中でも、将来の温室効果ガスの排出量見通し、その削減方策の検討、気候変動影響の経済的分析を中心としています。
さらに気候変動だけでなく持続可能な発展に関連する諸事象についても解析しています。対象地域は世界全体、アジア全域、各国、といったマルチスケールを対象とし、対象期間は現在から2100年までの短中長期としています。
国際的な目標が掲げられている重要課題
そのなかで、現在取り組んでいるのは、気候変動の緩和と飢餓の撲滅、生物多様性の保全に向けての解決策を提示することです。気候変動の緩和と飢餓の撲滅、生物多様性保全については国際的な目標が掲げられており、これらの達成は国際社会の重要な課題です。
副次的な影響や相互作用を統合的に検討
気候変動と生物多様性、食料生産は、土地や水といった地球上の資源を通じて密接にかかわりあうことから、関連する事象を統合的に考慮して解決策を検討する必要があります。また、一つの問題に対する対策が別の問題に副次的な影響をもたらす可能性もあります。
しかし、このような副次的な影響は十分に解明できておらず、また、どのようにこの3つの問題を解決するかについては、まだよくわかっていません。そこで、私たちの研究では、シミュレーションモデルを用いて、このような相互作用や影響を解明し、関連する事象を統合的に考慮して、それを実現するための具体的な対策を提案することを目指しています。