無機材料は、これまでセラミックやガラスとして利用されてきた身近な材料です。最近では、これらの材料は最先端のハイテクデバイスに応用されています。例えばスマートフォンの中には、数百種類以上の無機材料が、センサー、記憶デバイス、ディスプレイとして使用されています。あるいは、室温により近い温度でゼロ抵抗となる高温超伝導材料や、電気特性と磁気特性が融合して高密度メモリー機能などを発揮するスピントロニクス材料などの最先端の応用が実現できる材料として、盛んに研究されています。
最近では、有機材料や有機高分子、あるいは生体材料と複合化することで、人体の器官の代替材料や環境に応じてフレキシブルに特性が変わるスマート材料なども研究されています。「無機材料・物性」分野では、無機系の材料を中心に、これまでになかった新物質を作り出し、有機物や生態関連物質と複合化することで優れた、かつ新しい機能性を開拓しているのです。
ナノサイズの結晶の大きさを制御し、環境に合わせて特性が変わる材料を生む
私は有機物質と無機物質を複合化することで、それぞれの材料の持つ特性を相乗的に活用することに取り組んでいます。追及するのは、極微小のナノサイズの結晶の形状、大きさを制御して、機能性物質を設計することです。
材料の大きさを小さくすることで、新しい電子機能性が発現することは知られていますが、私は、化学組成やサイズだけではなく、ナノサイズの小さな穴をたくさん持っている材料や、温度など外部環境に合わせて形や特性が変わるスマートな材料を生み出しています。
これらの材料は、代表的な触媒反応の1つ、酸塩基触媒として利用できます。それによってプラスチック製品や医薬品の合成効率の飛躍的な向上や、環境汚染物質の除去、生体内での有害物質やウイルスの除去に利用可能となります。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→化学、自動車、材料
- ●主な職種は→研究
- ●業務の特徴は→研究部門において新しい材料を開発することが多い
分野はどう活かされる?
液晶、有機ELディスプレイ用低反射コーティング膜の開発などに従事しています。
優れた機能を持つ新しい物質を生み出す「無機材料・物性」分野では、ゼロから一を生み出す「現在の錬金術」を実践できる場所です。ユニークで世の中の役に立つ新しい材料を生み出すダイナミックな研究を一緒に進めましょう。100年後に残る研究ができる場所です。
大阪府立大学では、物質化学系の優秀な若手教員が多く在籍しており、風通しの良い雰囲気で研究・教育が進められています。学生に対するきめ細かい教育を一つの特徴としており、入学後の伸びが期待されます。また、海外留学なども大学が積極的にサポートしており、充実した学生生活を送ることができます。