統計科学

爆発的に増えるデータの計算速度を上げろ!~統計計算アルゴリズムの加速化


黒田正博 先生

岡山理科大学 経営学部 経営学科/総合情報研究科 社会情報専攻

どんなことを研究していますか?

ビックデータの時代と言われる現代社会において、統計科学の重要性がますます高まっています。インフルエンザの発生予測、新薬の効果の評価、野球やバレーボールなどでの作戦指示、犯罪捜査における犯罪者を予想・分析するプロファイリング技術など、多種多様なところで統計科学は利用されています。この他にも、生命科学、金融・経済、経営などにおける問題解決への活用など、統計科学の研究は社会と密接に関連し、科学的分析の基盤として不可欠な基礎知識となっています。

計算速度が速くなれば、より詳細な画像診断が可能に

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しかし、爆発的なデータ量の増大に伴い、解析のための統計計算に多大な時間が必要になる場合があります。そこで私は、主にデータ解析に用いる統計計算アルゴリズムの研究をしています。コンピュータの高速化により、データ解析の計算時間は軽減されてきていますが、もっと根本的な計算速度の短縮を図るため、統計計算アルゴリズムの効率化と加速化による改良を行っています。

例えば、医用画像診断の統計解析のために用いられているアルゴリズムには、計算法として優れた性質を持っていても、計算速度が遅いという欠点があるかもしれません。こんなとき、アルゴリズムを改良して計算の高速化が可能になれば、従来の計算時間で、より解像度の高い詳細な画像診断を行えるようになります。ひいては診断の精度の向上にもつながると考えています。

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授業の様子

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種→ソフトウエア会社(SE)、流通・小売業、金融
分野はどう活かされる?

市場調査のためのアンケート調査票作成やデータ解析のための統計処理、統計解析のためのプログラム作成などに活かされています。

先生から、ひとこと

統計科学は、数学や計算機科学などの理系要素が強いのですが、データ解析の利用を考えた時、経済・経営や心理学などに興味を持つ人にも十分に魅力的な学問分野であると思います。

ビッグデータの活用は、ビジネス、医療・福祉、農業などと広範であり、その可能性は無限大に広がっていくことが予想されますが、集積された大量のデータから有用な情報抽出を行うための高度な統計知識と解析スキルを持ったデータサイエンティストが不足しています。そこで、文部科学省や総務省では、その人材育成に力を入れてきています。このように、ビッグデータ時代における統計科学は、まさに現代社会で要請される学問分野であり、これから飛躍的に発展していくと思っています。

興味がわいたら~先生おすすめ本

やさしい統計入門

田栗正章、藤越康祝、柳井晴夫、ラオ.C.R

視聴率、テストの偏差値、選挙の出口調査など、身の回りにはデータ解析がたくさんある。本書は、データ解析の基本となる平均や分散、相関係数などの記述統計学から始まり、推定・検定といった統計的推測法までを、身近な話題を使ってわかりやすく解説している。さらに、大学で学ぶべきであろう多くの事項を紹介している。 (ブルーバックス)


統計学が最強の学問である データ社会を生き抜くための武器と教養

西内啓

2014年の「ビジネス書大賞」、2017年の「日本統計学会出版賞」を受賞した統計学入門書である。なぜ、統計学が最強の学問であるのかを、医学、心理学、経済学などの様々な分野での適用事例と研究結果をもとに説明している。さらに、この続編である『統計学が最強の学問である[実践編] データ分析のための思想と方法』もおすすめの本である。 (ダイヤモンド社)


統計学を拓いた異才たち

デイヴィッド・サルツブルグ

統計科学の発展に大きく寄与した統計学者の列伝的な本。統計学をめぐる面白いエピソードを集めた。統計学の基礎となった理論や、現在の主要なデータ解析法がどのように考え出されたのかが興味深く書かれている。また、統計用語の語源もわかり、親しみをもって統計学の勉強に取り組める。 (竹内惠行、熊谷悦生:訳/日経ビジネス人文庫)


「原因と結果」の経済学 データから真実を見抜く思考法

中室牧子、津川友介

偏差値の高い大学に行けば収入は上がるのか、メタボ健診を受けていれば長生きできるのかといったテーマを例に、経済データを使い、相関関係と因果関係の違いや、因果関係を説明する「原因と結果」の関係をどのように決めるかを、わかりやすく説明している。さらに、「因果推論」の考え方を、数式などを使わずに解説している。 (ダイヤモンド社)


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