機械力学・制御

空中浮遊の夢をかなえるメカトロニクス~磁気浮上の研究


水野毅 先生

埼玉大学 工学部 機械工学・システムデザイン学科/理工学研究科 機械科学系専攻

どんなことを研究していますか?

日本で生まれ国際的にもよく使われる技術用語に、メカトロニクスがあります。メカトロニクスは、「機械工学」と「電子工学」とを合わせた和製英語です。機械と電子、さらには情報処理技術とを融合させることによって、複雑な動作を簡単に実現したり、メカニズムだけでは不可能であった新しい機能を実現したりします。カメラやプリンターは、代表的なメカトロニクス製品です。ロボット、ハイブリッド車などは、メカトロニクスによって実現します。わが国のものづくりを先導する主要産業において不可欠な基盤技術と言えます。

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私は制御工学とメカトロニクスを研究対象としています。追及するのは、空中浮遊です。物体を空中に浮かせることは、人類の夢です。この夢を実現する方法の一つに、磁力を利用して物体を、地面と接触しないで浮かせる磁気浮上があります。磁石が鉄を吸引する力を利用する方式の磁気浮上は、典型的な「メカトロニクス」として捉えることができます。磁気浮上の最大の利点は、普通の機械ではまぬがれることができない摩擦・摩耗から解放されることです。この特徴を生かした応用例が、磁気浮上列車、すなわち私も研究に携わるリニアモーターカーです。「静かに浮かせる」ことによって、振動・騒音といった問題が解決されます。

無重力下で重さを測る方法、伸びないばねで力を測る方法

それ以外に私たちは、無重力環境下での質量測定にも取り組んでいます。地上で用いられる質量測定装置は重力を用いていますが、しかし宇宙ステーションでは使えません。そのために重力を利用しない測定法を目指しています。

また、制御技術を利用すると、伸ばそうとして力を加えると却って縮んでしまうようなばねが実現できます。これと通常のばねとをつなぐと、「伸びないばね」が実現できます。このユニークな性質を備えたばねを利用して、小さな力を精密に測定する装置を作っています。

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水野先生が開発した微小力測定装置

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→機械、輸送用機器(自動車)、電気機器、精密機器など
  • ●主な職種は→機械・機構設計、生産技術、研究、回路・制御設計など
  • ●業務の特徴は→ものづくりに係わる業務が多い
分野はどう活かされる?

ハードウェアからソフトウェアまで一通り体験していることが強みとなっています。

先生から、ひとこと

研究にあたっては、トレンドを追うのではなく、独自の発想を重視して、テーマ設定を行っています。学生の指導では、原則として、学生一人一人が、ハードの設計・製作から制御ソフトの開発に至る、一通りの技術を体験・修得できるように心がけています。基本的には、細部まで手取り足取り指導するようなことはせず、学生の自主的・自発的な取組みを重んじています。また、教員と学生がざっくばらんに話し合える雰囲気づくりを心がけています。

先生の学部・学科はどんなとこ

実験を重視しています。基礎から体系的に学ぶことができます。

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振動制御に関する国際会議MoViC2018で講演する水野先生

興味がわいたら~先生おすすめ本

制御工学の考え方 産業革命は「制御」からはじまった

木村英紀

どんな機械も「制御」がなければまともに働かない。ロボットアームもヒト型ロボットも制御工学の賜物だ。副題の「産業革命は『制御』からはじまった」という言葉が示唆するように、「制御」がこれまでに果たした役割について比較的わかりやすく説明している。ワットの調速器に始まり、エアコン、自動車、ロボットの制御まで、いろいろな制御の方法を解説。現在では使われていない機器の例もあるが、「温故知新」ということわざがあるように、今につながるヒントが得られるだろう。 (ブルーバックス)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/総合科学技術・イノベーション会議の調査事業の一環としても、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。
各先生の所属など、掲載されている大学(学部・学科ほか)の名称は、2020年1月段階の調べによります。実際の進路選択等に際しては、各大学のHP等で改めてご確認ください。

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