数学解析

数学によって、物理現象の根源にせまる


小澤徹 先生

早稲田大学 先進理工学部 応用物理学科/先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻

どんなことを研究していますか?

2016年、世界で初めて重力波が観測されたという報道がありました。重力波は、時空のゆがみの時間変動が波動として光速で伝播する現象のことです。それは100年前にアインシュタインによって予言されました。なぜ、アインシュタインは、重力波を予言できたのでしょうか。物理現象の本質に潜む数学的構造を、突き詰めて考えたからです。

経済動向や生命現象も数学的に解析できる

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私の専門は数理物理学です。数理物理学とは、理論物理の土台となる基礎方程式を、数学的に解析する学問といえます。ほとんどすべての物理現象は、微分方程式の形で表されます。関数の性質などの数学固有の問題はもちろんのこと、熱・波・音・光などの物理現象から経済動向や生命現象まで、幅広い現象を研究対象にして数学的に解析します。具体的には、波動現象として物質の本質を説明する物質波の数学的理論体系の構築に取り組んでいます。この理論の構築は、物理学の根源的な進展に寄与するでしょう。

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2018年ICM(国際数学者会議)で座長を務める

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→教員(大学・高校)、公務員、金融、保険、出版、電機、機械、通信
  • ●主な職種は→教育、研究、調査、企画
分野はどう活かされる?

人材育成、気象予報、経済分析

先生から、ひとこと

世の中はわからないことだらけです。物理と数学を使って、未知の世界を解き明かしていきましょう。

先生の学部・学科はどんなとこ

早稲田大学の先進理工学部・応用物理学科および先進理工学部・物理学科は、物理から数学まで、幅広い分野を系統的に学べます。

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オンライン講義の様子

先生の研究に挑戦しよう

微分積分学や微分方程式を用いて力学・電磁気学を明快に説明する。

興味がわいたら~先生おすすめ本

数学を使わない数学の講義

小室直樹

数学の視点や方法論について、様々な角度から説明した本。高度な内容でありながら、わかりやすく、数学的アプローチという観点から見ても面白い。同著者による『数学嫌いな人のための数学―数学原論』(東洋経済新報社)も合わせて読むとよい。 (ワック出版)


余剰の時代

副島隆彦

モノはあふれ、作っても売れない。人も余り社会は失業者予備軍であふれている。そんな「余剰・過剰」の時代を生き抜く知恵に満ちた本。自分の頭で考え、自立して生きることがいかに重要なのか、そのため学問がどれだけ大切なのか、具体的に知ることができる。 (ベスト新書)


いま生きる階級論

佐藤優

教育格差をはじめ、労働・商品・資本・国家・階級・格差などの概念を様々な文献を通じて読み解いて行く講義録。人生の指針となり得るヒントがちりばめられている。同じ著者による『いま生きる「資本論」』(新潮文庫)と併読するとよい。 (新潮社)


学問のすゝめ

福澤諭吉

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり」。この有名な一文ではじまる。「学問が何故大切なのか」という福澤諭吉の主張を知ることができる。その輝きは現在でも失われていない。『学問のすすめ 現代語訳』がちくま新書から、斎藤孝先生訳で出ているが、できれば原典(文語体)で読みたい。 (岩波文庫)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。