特別支援教育

手話は言語である!手話と音声言語を共に学校で使おう


鳥越隆士 先生

兵庫教育大学 

どんなことを研究していますか?

現在、公の発表やスピーチの席では、必ず手話で同時通訳がされるようになりました。しかし実は、手話は長らく社会の中でも、教育においても、否定されてきました。教育の場では、手話は日本語の習得を妨げるものと誤解され、多くの学校で意図的に排除されてきたのです。しかし、国連「障害者の権利条約」で、手話が言語であることが明記され、社会や教育の中で十分に認められることを要請しています。

手話をどのように学校の中で活用するか

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私は、手話を言語学として扱う手話学を研究しています。補聴器や人工内耳の活用で、聴覚障害を持つ子どもたちが通常の学校に通うようになっています。しかし、やはり聴覚障害を持ち続けるため、周りと十分にコミュニケーションができないことがあります。彼らに手話を教える取り組みを行っています。手話言語と音声言語が使われる「共生社会」をめざし、学校において、手話をどのように活用するかが研究テーマです。

周りの健聴児も手話に接する機会を増やすことで、その手話がどのように子どもたちの学びに生かされていくのか、学校現場で支援しながら調査を続けています。米国、イタリア、ノルウェー、香港の小学校での、手話と音声言語のバイリンガル状況も調査し、日本での実践に役立てようとしています。

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モンゴルの障碍者施設を視察

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な職種は→学校の教員、特に特別支援学学校の教員
分野はどう活かされる?

特別支援学校の教員、手話通訳者、聴覚障害児者に関わる福祉関係の職員として活躍しています。

先生から、ひとこと

日本の中にあって日本語とは異なる言語、手話(日本手話と言います)の世界に、まずは踏み出してみましょう。

先生の学部・学科はどんなとこ

学校の先生を養成する大学です。また大学院では、現職の先生も多く学んでいます。

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中国のろう学校で講演、校長先生からお礼をいただく

先生の研究に挑戦しよう

まず手話を学習してみましょう。地域にいる聴覚障害者と関わりを持ち、彼らの生活、社会、歴史を彼らの言葉から知る。ボランティア活動等、支援のあり方を考えてみる。社会の中で、どのように手話が存在しているのか、もっともっと手話を普及して、手話も使える社会、聴覚障害者が十分に参加できる社会にするためにどのようなことが可能か、考え、実践してみよう。

興味がわいたら~先生おすすめ本

手話の世界を訪ねよう

亀井伸孝

文化人類学者が、手話を多様な言語と捉え、また聴覚障害者の世界を異文化理解として、手話の世界を紹介する。著者の愛知県立大学外国語学部の亀井伸孝先生は、文化人類学とアフリカ文化の研究者だ。世界119種類の手話言語や、亀井先生ならではのアフリカのろう文化の紹介がユニークだ。 (岩波ジュニア新書)


わが指のオーケストラ

山本おさむ

大正から昭和にかけて、聴覚障害児教育の中で手話を守った学校の先生の伝記。当時、社会の中で、どのように手話が否定されたか、また、どのようにそれを守ろうとした人たちがいたかがよく理解できる。 (秋田書店)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。