バーチャル空間で、橋や堤防の維持管理を効率化
費用&人手不足で管理が困難に
皆さんの生活を維持していくためには、道路や橋梁、ダム、堤防のような社会基盤構造物を適切に維持管理していくことが必要不可欠となります。
特に、日本のような島国では、海岸の近くに社会基盤構造物が大量に設置されており、それらが海から発生した塩分により塩害被害を受けるため、効率的に維持管理を行っていくことが重要となります。
しかしながら、わが国では、社会基盤構造物の維持管理費の不足および建設業界の人手不足などが進んでおり、近い将来、社会基盤構造物を維持管理していくことが一層困難になると考えられます。
情報空間技術に着目
その一方で、近年、パソコンの性能や情報空間技術が急速に発達し、パソコンやインターネット上に現実空間を模擬した仮想現実空間を構築できるようになっています。
例えば、3Dモデリングやデジタルツインのような技術です。そのような技術を社会基盤構造物の維持管理に適用することができれば、維持管理を効率的に実施する方法の一つとなることに気づきました。
仮想空間に橋を再現、過去も未来も示す
そこで、私が所属する研究室では、仮想現実空間を利用して社会基盤構造物の過去・現在・将来の状況を予測し、社会基盤構造物の維持管理を効率的に実施する研究に挑戦しています。
具体的には、実際の社会基盤構造物(主に橋梁)をパソコンの中に再現し、その空間と実空間を連携して過去・現在・将来の状況を予測するといった研究です。もし、この研究が成功すると、社会基盤構造物の維持管理を効率化する方法の1つになると考えられます。
将来、社会に直接役に立つ仕事をしたいと考えており、社会活動・人々の生活に密接に関係する学問である社会基盤工学(土木工学)分野を学ぶことにしました。その中で、わが国では、社会基盤構造物の老朽化や災害が大きな問題となっていることから、社会基盤構造物の維持管理分野および防災分野の研究の道を選びました。
「外部環境適用型の実構造物の新規劣化予測技術の開発と総合的検証データの構築」
◆主な業種
(1) 建設全般(土木・建築・都市)
(2) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
(3) コンサルタント・学術系研究所
◆主な職種
(1) 生産管理・施工管理
(2) 技術系企画・調査、コンサルタント
私が所属している環境社会基盤工学分野は、土木工学と環境工学を融合した幅広い知識を学ぶことができる学科です。
本学に入学してくる学生の8割程度が、全国の高等専門学校を卒業した学生であり、専門性の高い教育を行っている点に特色があります(普通科の高校から第1学年に入学することも可能です)。また、大部分の学生が大学院に進学している点も特色の一つです。