衣・住生活学

スポーツウェアの伸縮性能を長持ちさせる適切な洗濯方法の研究


米山雄二 先生

文化学園大学 服装学部 ファッションクリエイション学科/生活環境学研究科 被服学専攻

どんなことを研究していますか?

伸縮性が高い、汗などの吸収・速乾性が高い、清涼感があるといった、高機能なスポーツウェアがどんどん登場しています。ただし、運動に使うので当然ながら、汗や油汚れ、泥などが付着します。そこで、洗濯がスポーツウェアの伸縮性にどう影響するのか調べたところ、洗剤に含まれている界面活性剤の影響が大きいことが明らかになりました。しかもそれは界面活性剤の種類や構造によって異なることがわかりました。

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私は衣服の取り扱いの中で、省エネ・省資源、環境保全を追求する研究を進めています。特に中心になるテーマがスポーツウェアを長持ちさせるための適切な洗濯方法の研究です。そのほかにも例えば、短時間洗濯ができる超音波洗浄の研究、少ない染料溶液を超音波で霧状にして効果的に布を染める染色法の研究などを行っています。

海外で生産され輸入される衣類だからこそ管理学が重要

衣類の取り扱いに関する研究「被服管理学」は、染色、洗濯、保管、廃棄というそれぞれの技術を対象としています。皆さんが着ている衣類の90%は、海外生産され、輸入されたものです。コンテナで運ばれ、倉庫に保管され、日本の店頭に販売されるまで、衣類の品質を保つために、様々な品質管理の知識が求められ、だからこそ重要な学問分野となっています。

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実験の授業の様子

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→アパレル業、デパート業、クリーニング業
  • ●主な職種は→品質検査、品質管理、製品企画
  • ●業務の特徴は→物事を科学的な分析力をもって解決できること
分野はどう活かされる?

・デパートの品質保証部&お客様相談室
製品クレームの原因が、製品の製造またはお客様の取り扱いのいずれに原因があるのかを、過去の知見や実験行って判明し、メーカーとお客様間のクレームを解消していく仕事です。
・繊維製品専門試験所
繊維メーカー、アパレルメーカー、販売者、クリーニング業者などから依頼される衣類の性能試験や素材の分析を行って、製品開発や品質改良、品質保証、または販売戦略などに貢献する仕事です。

先生から、ひとこと

衣生活を研究する分野は、私たちの生活に直結する学問となります。普段の生活で「なぜ?」と思う現象を科学的に解き明かしていくことで、私たちの生活がより良くなることを実感できる面白さがあります。

先生の学部・学科はどんなとこ

本大学では、講義で学んだ知識を、実験や実習を通して深く理解することを教育の特色としています。自分の目で見て、確かめて知り得たことは、知識として、しっかりと身につきます。被服材料に関する科目群、被服管理学に関する科目群、染色に関する科目群の、いずれも講義と実験がペアとなって設定されています。またそれに必要な専用の実験室も設置され、充実したアクティブラーニングの環境と教育プログラムによって、衣生活の分野を学ぶことができます。

先生の研究に挑戦しよう

家にある洗濯機と市販の洗剤や衣類を用いて、以下のような研究を行うことができます。
・衣類を洗剤で繰り返し洗濯して、衣類の色がどれほど変化するか、洗剤の種類や洗剤の濃度の影響、または柔軟剤の使用の有無を調べる研究
・上記の実験を、衣類の種類を綿、合成繊維、ウールなど、素材を変えて、繊維素材の影響を調べる研究

興味がわいたら~先生おすすめ本

被服管理学

増子富美ほか

被服管理学という名称は難しく聞こえるが、私たちが日常行っている洗濯や保管など、衣類を取り扱う時に注意すべき点を、繊維素材、染色、洗浄、防虫の視点から科学的に学ぶという学問だ。この本は専門書だが、私たちの生活に密着した内容なので、大学1年生でも理解できるよう、やさしく解説している。将来、アパレル業界に関係した仕事をする時などに役立つ知識も学ぶことができる本だ。 (増子富美、齊藤昌子、牛腸ヒロミ、米山雄二、小林政司、藤居眞理子、後藤純子、梅澤典子/朝倉書店)


循環するファッション 新しいデザインへの挑戦

KATE FLETCHER、LYNDA GROSE

私たちが楽しんでいるファッションは、地球環境に悪い影響を与えていないか。この疑問に対して、現在産業界が行っている取り組みを、繊維素材、染色、縫製、流通、消費、廃棄に至る各視点で紹介している。 (江戸克栄、田中里尚:監、文化学園大学服装学部USR推進室:訳/文化出版局)


ドラッカー流最強の勉強法

中野明

経営の神様といわれるピーター・ドラッカーは、どのようにして豊富な知識を身につけたのか。「3カ月と3カ年勉強法」、「フィードバック分析」など、彼が実践した勉強法をわかりやすく解説している。 (祥伝社)


考えをまとめる・伝える 図解の技術

奥村隆一

図を使って情報を整理することで、余分な要素がそぎ落とされて要点が分かりやすくなり、理解力が高まってくる。また、新たな気づきが生まれ、発想力が豊かになる。その思考法を具体的に指南してくれる本。 (日本経済新聞社)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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