コンピュータを使ったバーチャルな体験は、いま急速な進化をとげています。映像技術はますます仮想化されています。しかし、音響分野の仮想化技術は実現の難しさもあり、かなり遅れています。言い換えれば、まだまだ研究の余地があります。
私の専門は数値音響工学です。音空間レンダリングという技術を用いて、おもに耳に聞こえる音波の伝わり方を、コンピュータの数値シミュレーションによって計算します。そしてその結果を、立体音響システムなどを用いて再現し、仮想的な音響体験を実現することを目指しています。
初音ミクのコンサートではよりバーチャルに
この技術を用いると、例えば本物の音楽ホールの音響を体験できます。世界中のどんなコンサートホールでも設計図さえあればシミュレーションでき、あたかもそのホールで聴いたような臨場感あふれる音響を楽しめます。遠隔であってもその場で聴くような体験が可能となるようなコミュニケーションシステムを実現したいです。
また、初音ミクなどのバーチャルアイドルのコンサートで、ヘッドマウントディスプレイ型VRシステムと組み合わせることで、あたかも目の前で歌っているような音響効果の実現できるようになります。視覚と聴覚を統合することで、より一層の仮想現実のバーチャル感を作ることが期待されます。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→IT関連企業
- ●主な職種は→システムエンジニア
- ●業務の特徴は→システム設計
分野はどう活かされる?
GPUアプリケーション(画像処理を担当する主な部品)の開発部隊で、新たなGPU応用システムの開発を行っています。また、ゲーム開発会社ではVR音響の開発も行っています。
楽器や人の声など音の発生から伝わりまでのすべてをコンピュータでシミュレーションすることはまだできていません。また、なぜ良い楽器が良い音を出すかもよくわかっていません。みなさんの身近な音の世界ですが、まだまだわからないことだらけです。一緒に音の不思議に迫ってみませんか。
当学科は、人の役に立つ生きた情報システム、特に人工知能やVRを用いて人とコンピュータの関わりを円滑にするシステムを研究しています。学生がテーマを考え、自主的に行動することを重視しています。