生産工学・加工学

自然界もお手本に。表面の微細加工技術で新たな機能を生み出す


諸貫信行 先生

東京都立大学 システムデザイン学部 機械システム工学科/システムデザイン研究科 機械システム工学域

どんなことを研究していますか?

ぬれた床の上を勢いよく走ると、ツルンと滑ってしまいます。それは速度の増加にともない間に挟まれた流体の圧力が増し、動摩擦係数が小さくなるためです。しかし、床の表面に凹凸を設けると、摩擦を調整することができます。つまり、ある表面の微細構造を変えることで摩擦やぬれ性などの機能を変えることができるのです。このように表面の微細構造を変えることで、新たな機能を生み出すことができます。

ウニのトゲのような構造で、高感度のガスセンサを作る

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ものの表面に凸凹の微細構造を設けることは、固体表面の表面積を増やすことを意味します。そのアイデアを活用した研究の一つが、ガスセンサの感度向上の研究です。これは、自然界をお手本にしました。海に棲むウニの体表はトゲでおおわれています。トゲは外敵の防御や視覚器官などのセンサの役割を持っています。私はナノテクノロジーを使って、ウニを一様に並べたような構造を作り出し、センサの感度を上げることを確認しました。様々な技術によってナノ構造を製作できるようになりましたが、それを何に用いるかという視点を広げてくれるものが自然界に多くあります。

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→製造業一般
  • ●主な職種は→研究・開発職

先生から、ひとこと

行動力と表現力を磨きましょう。世の中にない実験装置をハード・ソフトともに自分で作る創造力と的確に伝える能力は、社会人になってからも重要です。

興味がわいたら~先生おすすめ本

ヤモリの指 生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジー

ピーター・フォーブス

ヤモリは、指先にあるナノメータレベルの微細構造によって、壁や天井に貼り付いて歩くことができる。モルフォチョウは、やはりナノメータレベルの微細構造により美しい色をしている。これらの不思議について、平易にそのメカニズムが解説されている。様々な技術によってナノ構造を製作できるようになったものの、何のためにそれを用いるかという視点を広げてくれるものが自然界に多くある。自然界ではタンパク質をもとにして自律的に複雑な構造が作られているが、工学でも自己組織化プロセスが用いられるようになっている。このような背景を学ぶのに適切。 (吉田三知世:訳/早川書房)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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