哲学・思想の本

思想史のなかの科学

伊東俊太郎、広重徹、村上陽一郎

科学がどこから生まれて、どこに向かっていくのかについて、古代から現代まで広い視野で語っている。「思想史」というと文系のイメージがあるかも知れないが、科学にも思想は大きな役割を果たしており、常に社会や文明との関わりの中から成り立ってきたことがわかるだろう。 (平凡社ライブラリー)



日本近代思想批判 国知の成立

子安宣邦

著者は、本居宣長、荻生徂徠、平田篤胤、福澤諭吉などの思想を研究してきた日本の代表的な思想史研究者。本書では、民俗学、支那学(第二次世界大戦以前、日本は中国を支那と呼んでいた)、国語学、倫理学などの近代日本の学問と日本のナショナリズムの関連を解析。近代日本の学問の基盤には、帝国日本的な思想が流れていると批判する。日本の近現代を考察する上で参照すべき一冊。 (岩波現代文庫)



言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学

野矢茂樹、西村義樹

「ことばの科学」言語学には、様々なアプローチがあり、その1つが「認知言語学」だ。認知言語学の入門書として、もっとも楽しくてためになるのが本書。1980年代から90年代にかけて大きく発展した認知言語学は比較的新しい領域だが、扱われるのは人類の歴史の中で長年論じられきた、「ことば」と「こころ」の問題。昨今はコンピュータによる統計処理が言語学に導入されるようになってきたが、認知言語学の理論自体は古くからある言語学上の、あるいは哲学上の理論や考え方に大きく根ざしている。本書からは、認知科学の一分野である認知言語学の「古くて新しい」特徴が見えてくるだろう。 (中公新書)



思考の整理学

外山滋比古

自分の頭で物を考え出す力というのはどうしたら得られるのか、ということを模索しながら書かれた本。著者は御茶ノ水大学名誉教授。専門は英文学だが、日本語論でも独創的な仕事を続けた。その延長にあるこの本は、高校入試のための学習参考書に、頻繁に引用されてことでも有名という。1986年文庫化され、ちくま文庫の中で最も売れた本だそうだが、最近、再び脚光を浴びている。著者は「コンピュータは記憶することに優れているが、考えることができない。忘れることができない。この本のなかに『忘れる必要がある』と書いてある」と言っている。人間は忘れられるから、思考できるのだろう。 (ちくま文庫)



聖なるもの

ルードルフ・オットー

オットーは20世紀を代表する宗教学者で、本書は宗教学の古典的名著。この本を通して、宗教の本質は非合理的なものを核としていることを知ることができるだろう。オットーはドイツの神学者だが、本書はキリスト教神学だけでなく、哲学・比較宗教学にも多大な影響を与えた。 (久松英二:訳/岩波文庫)



意識と本質 精神的東洋を索めて

井筒俊彦

著者の井筒俊彦は、わが国を代表するイスラーム哲学・東洋思想研究の碩学。著者は本書で、インドや中国、日本だけでなく、イスラームやユダヤ教までも含む、時空を超えた思想家たちの思想を探訪し、東洋の思想の根元に迫る。読者は本書を通し、西洋の思想とは違う、東洋の思想伝統の特質を知ることができるだろう。難解な本なので、通読できなくてもあきらめず、何度も手に取ってほしい。読み返す度に新しい発見があるという人も多い名著である。 (岩波文庫)



宗教学入門

脇本平也

宗教学という学問も細分化が進み、全体像をつかむことが難しくなっている。そんな中、本書は一般向けのラジオ講座をもとにまとめられた、宗教学の入門書。著者は本書で、宗教学を「信仰の是非を論ずることなく、護教や伝道とは無縁な立場から、できるだけ主観的な価値判断をまじえないで、もっぱら客観的に宗教の諸事実を観察研究しようと努力する学問」であると捉えた上で、宗教学の歴史や考え方、宗教と社会や心理との関係、宗教の機能などについて、読者に語りかけるように、解説する。 (講談社学術文庫)



省察

ルネ・デカルト

哲学の古典中の古典。解説書や入門書には、わかりやすく書こうとして生ぬるくなってしまった本が多いので、あえて「世界の存在を、この私の存在を疑う」デカルトの『省察』を推薦しよう。学校で習ったことは、どれも本当らしくはあっても、本当に真理だとは確信しがたい。この宙ぶらりんの気分のまま生きて一生を終えるのではなくて、自分として絶対に疑い得ないことをつかむには、一生に一度はすべてを疑ってみなくてはならない――こうして『省察』は始まるが、これはまさに、普段当たり前と思われていることを改めて根本から考え直す哲学的思索そのものである。読後には、本心からそう思っていないのに「いいね!」とツイートしたり、うっとうしくてもLINEに返事したりする日常とは、まったく別の世界が開かれるだろう。 (山田弘明:訳/ちくま学芸文庫)



ソクラテスの弁明・クリトン

プラトン

「ソクラテスの弁明」は、民衆裁判にかけられたソクラテスの弁明を通して、「無知の知」や「正義」など哲学的なテーマについてのソクラテスの信念が語られ、哲学的な思考とはどのようなものかが提示される。「クリトン」では、ソクラテスの死刑が確定したその朝にかわされた友人クリトンとの対話に、思索の緊張を読み取ってほしい。 (久保勉:訳/岩波文庫)



ひとりでは生きられないのも芸のうち

内田樹

著者は哲学研究者にして、人気コラムニスト、思想家、倫理学者、翻訳家、合気道家。専門はフランス現代思想だが、取り上げるテーマは政治、宗教から映画論、武道論まで幅広い。非婚・少子化・大不況の厳しい今の時代に「ひとりでは生きられないのも芸のうち」と人のために生きることを説く。人間はひとりでは生きられないとは、当たり前のことだが、意味は深い。 (文春文庫)


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