遠き落日

渡辺淳一

「偉人」として親しまれ、千円札にも印刷されている医師・野口英世。たった一晩で留学費用を使い果たしたかと思えば、肉体的なハンディや当時のアジア人蔑視をはねのけて余りある研究への没頭ぶりを見せる、大きな振れ幅を持つ、「人間」野口英世を描く。持って生まれたものや置かれた境遇は、自分にとって好都合なものばかりではない。それでも人との出会いや縁を大切にし努力を重ねれば、偉人でなくても道は開けると感じさせてくれる。医学や生物学の研究に関心のある人はぜひ手に取ってみよう。 (講談社文庫)

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