様々な病気の診断と創薬へ。新たな遺伝子評価システムを開発
ゲノム情報から病気や個人差の原因を解明
2003年のヒトゲノム計画により、ヒトの遺伝子配列が解読されました。ヒトゲノム計画によって、個人で少しずつ異なる配列を持つこともわかりましたが、違いの意義はまだ誰にもわかりません。
私は、このような意義不明変異の役割が、細胞機能にどのような影響を及ぼすのか明らかにしたいと考えています。つまり、病気や個人差を作り出している原因をゲノム情報から解明していきたいと考えています。
筋ジストロフィーの治療薬を発見
このテーマは、マサチューセッツ工科大学での研究がきっかけです。そこでは、筋ジストロフィーに注目していました。筋ジストロフィーも遺伝子に変異が入ることで病気になります。しかし、どの変異が病気の原因になるのかわからないだけでなく、治療薬もありません。そこで、診断と創薬を可能にする新たな評価システムを開発し、治療薬を発見しました。
細胞をハックするウイルスがヒント
一方で、この新たな評価システムは特殊なタンパク質にしか利用できません。そこで、どんなタンパク質にも使える評価システムを開発すれば、様々な病気の診断と創薬が進むと考えました。新たな評価システムは、細胞をハックするウイルスからヒントを得ていますが、細胞機能をハックしながらタンパク質デザインを考え、それを実現するにはじっくりと考える時間が必要です。じっくり考え、うまくピースがつながったとき、大きな喜びになります。
私は、細胞外小胞による細胞間コミュニケーションの研究者でもあるのですが、これはまた別の機会に書こうと思います。
小中高は友達と近くの山に行いき、よく虫取りをしていました。生物がなぜ生きているのか不思議に思っていたことが、医学生物学研究に進みたいと思ったきっかけです。その後、バイオベンチャーで働く中で、自らが研究した成果で起業してみたいと思いました。そこから大学に戻り、修士課程・博士課程と進み、大学(アカデミック)での研究者として働いています。
◆ 富永研究室HP
◆主な業種
(1) 病院・医療
(2) 薬剤・医薬品
(3) コンサルタント・学術系研究所
◆主な職種
(1) その他医療系専門職(臨床検査技師・理学療法士等)
(2) 基礎・応用研究、先行開発
(3) 大学等研究機関所属の教員・研究者
◆学んだことはどう生きる?
私が所属している山口大学保健学科臨床検査科学専攻は、臨床検査技師を育成する学科です。主に病院の臨床検査を行う業務を行っていますが、企業の研究職などに就いている学生もおります。私の専門は基礎医学分野ですので、臨床検査の原理・応用の理解、創薬、新たな医療の創出に生かしてくれています。
検査技術科学専攻では、専門職に必要な知識と技術を習得し、エビデンスに基づく適切な判断と解決能力を身につけ、国際的な発展を遂げている医療分野に対応できる英語能力を養うためのカリキュラムがあります。細胞検査士や臨床培養士の資格を取得できるコースがあることも特徴です。
さらに、国際交流校との共同研究も盛んです。検査技術に関する最新の知識から研究・応用まで医学科・看護学専攻などと連携しながら研究をすることができます。
(1) 疾患に関連する遺伝子を調べ、その遺伝子から作られるタンパク質の機能を調べてみましょう。
(2) 臓器や細胞はそれぞれ単独で動いているわけではなく、相互作用(コミュニケーション)しながら恒常性を維持しています。臓器や細胞はどのようなコミュニケーションツールを使っているか調べてみましょう。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? バイオインフォマティックス、数学 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? イギリス(オックスフォード若しくはケンブリッジ):留学でどちらの町も住んだことがあります。ハリーポッターの世界のように街並みがとてもきれいで、学問的な歴史も深く、住んでいるだけで元気になります。ご飯も美味しいです。 |
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Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 世界含めて色々な場所に住むことが多いため、その土地の良いところを発見するのが楽しいです。よく名物を食べに行きます。 |
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Q4.好きな言葉は? なんでも楽しく挑戦 |