微生物をナノ工場に!極小微粒子の謎を解明し、医療・環境の未来を切り拓く
細菌の微粒子がヒトの健康を左右する!
乳酸菌や納豆菌、大腸菌などの「細菌」は微生物の仲間で、大きさは1 - 5 μm(1 μmは 1 mm の1000分の1)程度です。私たちの体に細菌は100兆ほど存在しており、その数はヒト細胞よりも多いのです。細菌は、口の中や腸内、皮膚などに生息しています。
細菌には善玉菌と悪玉菌が存在し、人の健康維持や病気に大きく関わることはよく知られていますが、細菌たちが作る100 nm(1mm の1万分の1)ほどの微粒子が免疫や疾患などに重要な役割を果たすことが近年わかってきました。私たちは、その微粒子がどのように作られ、どのように感染や健康に影響するのかを調べています。
細菌を操って新しい微粒子をデザインする!
ここまで聞くと、「なぜ工学部?」と思うかもしれません。私たちは細菌を“ナノサイズの工場”として利用し、新しい機能を持つ微粒子を作り出すことに挑戦しています。
細菌は約40億年の進化の中で、驚くほど多様で精密な化学反応をこなしてきました。その小さな細胞は、様々な化学反応を行う精密デバイスと捉えることができます。その仕組みを一つずつ解き明かし、工学的にデザインすることで、作製が不可能であった機能性微粒子を創り出せるようになりつつあります。
例えば、善玉菌に病原体そっくりの微粒子を作らせれば、新しい感染症ワクチンの開発につながります。また、微粒子の内部に酵素を入れることで、有用な物質を作るための化学反応を進める“ナノリアクター”としても働きます。このように、機能性を持った微粒子は、薬づくりにとどまらず、環境浄化や新しいエネルギー生産にも広く応用可能です。
◆テーマとこう出会った
学部時代に「微生物が化合物をやりとりして会話している」と聞いて興味を持ち、微生物学の世界に入りました。実験をしている中で、ある微生物が微粒子を放出していることを発見し、なぜだろうと不思議に思ったのがこの研究を始めたきっかけです。
元々は農学部出身で、生物の生命現象の謎を紐解くことに興味を持っていましたが、今は工学部に所属して、微生物のユニークな特徴を活かした新たなものづくりにも興味を持って研究しています。
◆出身高校
東邦大学付属東邦高等学校
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「7.生物・バイオ」の「21.分子生物学・細胞生物学・発生生物学、生化学(生理・行動・構造等 基礎生物学も含む)」
静岡大学工学部化学バイオ工学科では、「化学」をベースとして、環境に良いものづくりや、化学システムの開発のほか、化学技術と生物工学を融合させた「生物からのものづくり技術」を学ぶことができます。
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Q1.大学時代の部活・サークルは? サッカー同好会。大学院時代は、よくフットサルをしていました。 |
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Q2.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 新聞の訪問勧誘。いろいろなお宅に訪問していました。 |



