顧客のハートを動かす工夫が、企業の新たな資産価値になる
「うれしい」「たのしい」がビジネスの世界
欲しかった洋服が安く買えてハッピー! 温泉でのんびりできて、こころも身体もリフレッシュ!!これは私たちの「こころ」の動きです。
「こころ」を扱ってきた心理学では、失恋して悲しかったり、勉強が進まなくて不安になったり、面接で緊張したりという気持ちがへこんでくるほうに、いつも目が行っていました。
一方、アップルや東京ディズニーランドのように、お客様にいい気分をお届けし、「うれしい」や「楽しい」や「スゴイ」といった、「こころ」が上向きになる商品やサービスをいつも考えているのが「ビジネス(経営)」の世界です。
企業の資産はお金や土地、商品だけではない
会社が持っているいろいろな財産を、「資産(アセット)」という言葉で表します。たいていは、お金や土地、お店、商品など、実際に数量や金額で数えられるものを指しています。
加えて、他社にマネされないように特許を取る、かっこいいデザインやご当地ブランドを作ることなども資産となります。頭を使ってお金を生み出すので、「知的資産」と呼んでいます。
お金中心の世界で、お金で買えない価値を
しかし、人間は頭だけでできているわけではありません。マインド(頭)ではなく、ハート(こころ)を動かすこと、顧客をハッピーな気分にさせたり、感動を与えたりするような工夫を、会社の資産として考えていくのが良いのではないでしょうか。
お金中心のビジネスの世界で、お金で買えない価値を生み出すために、「こころ」をキーワードにして、「心的資産」という新しい価値について研究しています。
情報化社会が我々の生活を大きく変えています。ネット上に溢れる大量の情報を整理するために、人工知能(AI)は欠かせませんが、AIによって仕事が奪われるのではないかと、不安に感じている人も多いのです。
一方で、こころに響く商品・サービスや、こころが触れ合う職場のあり方などについては、情報化の波に飲まれて、忘れ去られてしまいました。「心的資産」の蓄積を通して、人にやさしい経済活動を目指すことができます。
「心的資産の機能探求と知的資産マネジメントに関する研究」
◆学生に折にふれて話すこと
心理学に漠然とした興味を持って大学に入ってきた学生は、社会に出て働くことについての具体的イメージがわかないようです。そこで、実際に新入社員が会社で働く姿や、職場での実体験を話題にして、心理学の産業社会への応用を考えてもらいます。
◆主な業種
(1)コンサルタント・学術系研究所
(2)小売(百貨店、スーパー、コンビニ、小売店等)
◆主な職種
(1)人事・労務・研修、その他人事系専門職
(2)一般・営業事務
(3)営業、営業企画、事業統括
◆学んだことはどう生きる?
心理系学部を出ると就職が難しいと思われがちですが、産業・組織心理学にはあてはまりません。企業の人事部や研修部、大学のキャリアセンター、人材情報会社や人材教育会社などで、専門性を生かせるチャンスが多くなります。心理アセスメントを活用して大学生の採用を担当したり、キャリアの相談をしたり、社員の能力とスキルとモチベーションをアップさせるために研修を企画したり、様々な場面でキャリアを展開できます。
心理系学部として、全国で最大規模の教員と学生がいます。心理系学部に典型的な臨床心理学だけでなく、認知心理学、発達心理学、社会心理学、司法心理学はもとより、産業・組織心理学まで、幅広い領域の心理学を学ぶことができます。国立大学では筑波大学が、私立大学としては立教大学と同志社大学が、入試併願先として挙げられます。経済・経営と接点のある心理学を学べる数少ない大学です。