NASAとも共同研究、宇宙ダストの謎を解き明かす
ナノ研究者、宇宙ダストに出会う
私は学生時代、ナノ粒子の研究をしていました。ナノ粒子は、0.1マイクロメートルよりも小さな粒子です。ある時、星の欠片(宇宙ダスト)の研究をしている先生と出会い、その大きさがナノ粒子と同じ程度だと知りました。
さらに、宇宙にはナノ粒子が大量に存在していることや、隕石中に沢山含まれていること、さらには、その生成過程はほとんどわかっていないことを知りました。
その時、ナノ粒子の不思議な性質を考慮すれば、宇宙ダストの生成過程を解明できるだろうと考えました。それから約20年、ナノ粒子と宇宙ダストを融合した研究に取り組んできました。
地上実験から宇宙の条件下での実験へ
宇宙ダストの研究を始めて10年ほど経ったころ、微小重力実験を行っている先生と出会う機会がありました。地上と宇宙で結晶のでき方が違うというのです。
これまでの宇宙ダストの研究は、地上実験を元に得られた知識の上に成り立っていました。ですが、宇宙ダストは宇宙で作られるので、宇宙実験を元にした知識を使って考える必要があると気がつきました。
それ以来、航空機やロケットを使って宇宙ダストの再現実験を行っています。特にロケットを使うと、星からの放出ガスの中で作られる宇宙ダストを見事に再現することができます。
この宇宙ダストは、地球のような天体やその上で生活する生命の始まりです。今では、ヨーロッパの宇宙機関やNASAとの共同研究で、宇宙ダストの謎を次々と解き明かしています。
◆中学時代は
マラドーナ(今の時代でいうならメッシのようなサッカー選手)とアインシュタインに憧れていましたので、ワールドカップに出て優勝し、ノーベル賞を取りたいと思っていました。けがをしてプロサッカー選手への道は早々に絶たれたので、それ以来、もう一つの夢に向かっています。
渡部直樹
北海道大学 理学研究院 宇宙理学専攻/低温科学研究所
【宇宙分子進化の研究】宇宙で分子が作られる過程を明らかにしています。実験技術の高さに影響を受けました。
■渡部先生プロフィール(北海道大学HP)
羽馬哲也
東京大学 総合文化研究科 広域科学専攻/先進科学研究機構
表面反応に関する研究を宇宙から動物、植物まで幅広く行っています。確固た
る知識の蓄積とその深さに影響を受けました。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? 物理学 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 国際宇宙ステーション。アメリカに住んだ時に日本を再発見できたように、地球外に住めば、地球を再発見できると思うから。 |
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Q3.一番聴いている音楽アーティストは? 子供の弾くバイオリン。『ユーモレスク』が好きです。 |
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Q4.感動した映画は?印象に残っている映画は? 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 |
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Q5.熱中したゲームは? 小中学生の頃は、『ドラゴンクエスト』 |
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Q6.研究以外で楽しいことは? 子供と遊ぶこと |