建築環境・設備

暑さ対策

市民の行動も考慮した、都市空間の暑さ対策の戦略


竹林英樹先生

神戸大学 工学部 建築学科(工学研究科 建築学専攻)

出会いの一冊

都市環境計画

竹林英樹(神戸大学出版会)

大学の講義のための教科書として執筆しましたが、高校生でも十分に理解できる簡易な内容です。この20年程度の間に私の研究室で学部4年生や大学院生が研究してくれた成果で構成されています。大学の研究とその社会的な意義の関係が理解できるのではないかと思います。

こんな研究で世界を変えよう!

市民の行動も考慮した、都市空間の暑さ対策の戦略

神戸市の暑さ対策の実証実験に協力

暑い中でも市民の利用が想定される駅前広場、バス停、公園、通勤・通学・買物・レジャーの経路などでは、熱中症回避とともに豊かな都市生活の場として、暑熱対策に配慮した屋外空間の整備が必要です。

神戸市では2019年度より様々な暑さ対策技術の実証実験を実施しています。私の研究室の学生が毎年効果検証測定を実施し、エビデンスに基づいて次年度以降の施策の方針が検討され、実践されてきました。

日射遮蔽の効果が最も大きい

都市空間内の歩行者や滞在者の温熱環境は、気温、湿度、風速、平均放射温度の影響を受けますが、1km四方程度の街区内では、気温、湿度はほぼ一様であり、風速と平均放射温度(日向・日陰、アスファルトの照り返しなど)により分布の特徴が決まります。暑さ対策としては日射遮蔽の効果が最も大きいです。

これらの暑さ対策の取組は、地球温暖化やヒートアイランド現象による高温化に対する適応策として位置付けられています。

木陰をつくり、人の流れもデータ分析

最近は、交差点で信号待ちする歩行者は、日傘、手持ちファンなどで個別に暑さ対策を実施するとともに、近くの街路樹や建物による日陰に待機し、自律的に暑さ対策を実施しています。そうしたことから、まち全体を涼しくするのではなく、市民の暑さ回避行動にも期待した、メリハリのある暑さ対策の戦略を研究しています。

神戸市では、六甲山の成木を都心の交差点近傍などに移植する「こうべ木陰プロジェクト」が実施されています。同地域では100箇所程度に設置された赤外線センサによる人流計測も実施されており、熱環境シミュレーションやデータ解析を通して、より実効性の高い暑さ対策の戦略を検討しています。

・東京地域,大阪地域のSET*分布
神戸の市街地は大阪湾と六甲山の間の限られた範囲に立地するため、太平洋高気圧に支配された夏期日中においても、大阪湾から流入する若干低温な海風の影響により、盆地地形の京都や内陸側の埼玉などのような極端な高温化にはなりにくい特徴があります。
・東京地域,大阪地域のSET*分布
神戸の市街地は大阪湾と六甲山の間の限られた範囲に立地するため、太平洋高気圧に支配された夏期日中においても、大阪湾から流入する若干低温な海風の影響により、盆地地形の京都や内陸側の埼玉などのような極端な高温化にはなりにくい特徴があります。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

私の学生時代は高度経済成長期が終わりを迎え、自然環境への影響を顧みずに経済効率を優先し、利便性、快適性を追求してきた都市開発や建築設計の見直しが必要であると多くの人が認識した時期でした。新たな持続可能な社会の実現に向けて、都市、建築、ライフスタイルのあり方を考えることに自然に至りました。

・神戸都心部(1km×1km)のSET*分布(夏期晴天日13時)
都市空間内の歩行者や滞在者の温熱環境(SET*で表現されています)は、気温、湿度、風速、平均放射温度の影響を受けますが、1km四方程度の街区内では,気温,湿度はほぼ一様であり、風速と平均放射温度(日向・日陰、アスファルトの照り返しなど)により分布の特徴が決まります。暑さ対策としては日射遮蔽の効果が最も大きいです。
・神戸都心部(1km×1km)のSET*分布(夏期晴天日13時)
都市空間内の歩行者や滞在者の温熱環境(SET*で表現されています)は、気温、湿度、風速、平均放射温度の影響を受けますが、1km四方程度の街区内では,気温,湿度はほぼ一様であり、風速と平均放射温度(日向・日陰、アスファルトの照り返しなど)により分布の特徴が決まります。暑さ対策としては日射遮蔽の効果が最も大きいです。
先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「市民の行動変容を考慮した市街地内における暑熱適応策の導入戦略の検討」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
・神戸市内に導入された暑さ対策技術の例
神戸市では2019年度より様々な暑さ対策技術の実証実験を実施しています。私の研究室の学生が毎年効果検証測定を実施し、エビデンスに基づいて次年度以降の施策の方針が検討され、実践されてきました。
・神戸市内に導入された暑さ対策技術の例
神戸市では2019年度より様々な暑さ対策技術の実証実験を実施しています。私の研究室の学生が毎年効果検証測定を実施し、エビデンスに基づいて次年度以降の施策の方針が検討され、実践されてきました。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 建設全般(土木・建築・都市)

(2) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等

(3) 電気・ガス・水道・熱供給業

◆主な職種

(1) 設計・開発

(2) 製造・施工

(3) 技術系企画・調査、コンサルタント

◆学んだことはどう生きる?

建築の環境分野の専門家として、実務では設備分野の技術者として活躍しています。冷暖房、換気、給湯、給排水、照明、音響などの設備の設計、施工を通して、建物利用者に安全性、快適性を提供するとともに、それらのサービス提供に伴うエネルギー消費量を抑制し、二酸化炭素の排出量削減にも貢献することで、脱炭素社会の実現に向けて社会的な責務も果たしています。

先生の学部・学科は?

建築学は計画、構造、環境と幅広い分野にまたがります。神戸大学の建築学科は、これらの全ての分野をバランスよく総合的に学べる点が特徴です。それは、様々な分野の専門家がそろっているからで、そのため各分野の専門の先生より最先端の講義を受けることができます。

先生の研究に挑戦しよう!

・都市の形態と周辺熱環境の関係の分析と提案

(1)都市の中で風通しのよい箇所、悪い箇所、日当たりのよい箇所、悪い箇所を見つけて、その理由を周辺の建物や道路などの形態との関係に基づいて考察してください。

(2)上の検討結果に基づいて、都市の中で夏の朝方、日中、夕方に過ごすのによい場所を選定してください。

(3)上の検討結果に基づいて、都市の熱環境の実態に応じた最適通勤・通学路の選択アプリのアイデアを提案してください。

中高生におすすめ

3D都市モデルPLATEAU

国土交通省

実際の都市をデジタルで再現したプラットフォームです。公開されたデータを用いて何が提案できるか考えてみてください。

[webサイトへ]


アクロス福岡

設計:日本設計、竹中工務店、Plamtago

福岡市にある、国際会議場やイベントホールや、商業施設が同居した官民複合施設。階段状に屋上緑化(ステップガーデン)された建物で公園と一体となったランドスケープを形成しています。築30年を経て森のようになった建物を見て、今後の建築や都市の可能性を考えてみてください。


大屋根リング

デザイン:藤本壮介

2025年の大阪・関西万博会場のシンボルとなる建築物です。伝統的な工法を現代の技術に進化させた世界最大の木造建築物を体感すれば、建築の素晴らしさが実感できると思います。

一問一答
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は?

建築

Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?

イタリア:生活が楽しそう。同じ分野の研究者仲間が多い。歴史的建造物が多い。

Q3.大学時代の部活・サークルは?

能楽部

Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

海外出張(まちを散策して建築や都市を実際に体験できる)