ヒトの医療の救世主!? シマリスの冬眠の謎を解き明かす
6℃と37℃を繰り返す冬眠
私は、シマリスの「冬眠」について研究しています。シマリスの冬眠は、冬が来て寒くなったから長く眠るという単純な話ではありません。
シマリスは、一年中寒くて(5℃)暗い環境にいても、年に一度だけ冬眠します。つまり、外の季節変化に頼らず、体の中に1年を測る時計(概年時計)を持っていて、冬眠を制御しています。
そして、冬眠期(約6ヶ月間)はずっと眠っているわけではありません。外の温度よりも数℃だけ高い体温(6℃前後)を保ってほとんど活動しない「深冬眠」が約6日間続き、数時間で体温を37℃まで上げて覚醒する「中途覚醒」が約1日のサイクルを繰り返します。
冬眠は特別な生物だけの現象ではない
冬眠には、(1)体内でどうやって1年を測っているのか、(2)なぜ冷蔵庫のような体温でも生きていられるのか、(3)深冬眠と中途覚醒を何度も繰り返してもどうして健康なのか、という謎があります。
私はこれらの謎に対して、代謝の中心臓器・肝臓の遺伝子の発現制御(スイッチのON/OFF)や機能を分子の視点から明らかにしようとしています。その結果、冬眠期はRNAを守るタンパク質がずっと働いていることや、中途覚醒に応じて、停止していた1日を測る時計(概日時計≒体内時計)の遺伝子の発現が、周期的に一部再開されていることを明らかにしてきました。
私が明らかにしてきたことは、冬眠は特別な生き物にだけ備わった現象ではなく、ヒトにもある仕組みをうまく組み合わせることで実現している可能性がある、ということです。
冬眠の研究成果は、移植用臓器の保存や低体温手術といった医療現場での応用や、低代謝を活用した食料問題の解決策として、これまでにない角度からの“救世主”になる可能性も秘めています。
私が生物の研究を志すきっかけになったのは、教育のかたわらオオカナダモの研究を続けていた、少し変わった高校の生物の百瀬先生との出会いです。授業中の「生物は子孫を残すために生きてきた。君たちは祖父母やその上の世代の名前を知っているか?」という問いが心に残り、生物が本当に残してきたものは何かを知りたいと思うようになりました。
その本質に迫るには理学を通じて“事実”に触れることが大切だと感じ、生命現象を解き明かそうとする今の冬眠研究へとつながっています。
シマリスは冬眠期になると、「深冬眠」と「中途覚醒」を周期的に繰り返します。非冬眠期には、体温はヒトと同じように昼行性のリズムに合わせて変動しますが、冬眠期には体温が約6℃の深冬眠状態と約37℃の中途覚醒状態の間で急激に変化する特有のパターンを示します。
「哺乳動物の冬眠に特異的な遺伝子発現制御による末梢組織の低温耐性メカニズムの解明」
◆主な業種
(1) 病院・医療
(2) 小・中学校、高等学校、専修学校・各種学校等
◆主な職種
(1) その他医療系専門職(臨床検査技師・理学療法士等)
(2) 中学校・高校教員など
| Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 医学部。もう一度受験勉強に本気で取り組んで挑戦してみたいです。医師にならなくても研究者としての道も選べるからです。 |
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| Q2.一番聴いている音楽アーティストは? Bon Jovi 『Livin' On A Prayer』。聴くととても勢いが出ます。 |
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| Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? お父さん業務。シマリスの冬眠と子どもは、今のところ私の人生で出会った二大不思議です。 |
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| Q4.好きな言葉は? 継続は力なり。本当にそうだと思いますが、自分にはなかなかできません。だからこそ、心に刻まれた憧れであり、好きな言葉です。 |

