経済学に利用されるユニークな理論にゲーム理論があります。ゲーム理論とは、将棋や囲碁のように、相手の出方を読みながらこちらの出方を考える、意思決定が相互に作用する状況を研究する理論です。経済学で扱う多くの問題に応用され、何度もノーベル賞を取っています。例えば、商品の価格の設定や、コンビニの出店戦略も、すべてゲーム理論で分析できます。ゲーム理論では、裏の裏をかきあい勝ち負けを競うだけでなく、できるだけお互いが得をする「ウィン-ウィン」にするにはどうすれば良いか、という視点も大切です。
ゲーム理論をコンピュータに乗せやすい数学を使って解析
私はゲーム理論を用い、オークション、公共事業、賭け、企業の投資などを話題に研究をしてきました。例えば、需要が読みにくく不確実に成長するような新規市場に、既存企業と新規企業という2つの企業が参入する問題を考察しました。研究室の卒業論文では、ノンアルコールビール製造における新規企業の参入のタイミングや、グリコじゃんけんの戦略、需要の情報が不確実なときの2つの企業の競争戦略、東京都都議会の政党が持つパワーの測定などを扱いました。
ゲーム理論の解析には、連続した数値を扱う微分方程式を使うことが一般的ですが、私は離散数学という応用数学を用いています。離散数学は、連続でない飛び飛びの数をあつかう応用数学のことで、ゲーム理論をコンピュータで解析、活用するためにより優れた数学と考えています。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→都や県の職員、銀行、損保・生保、IT・情報産業、公的団体
高校の頃は数学といえば物理や化学などの「理系」で使うと考えがちですが、現代では経営学や経済学などに、どんどん数学が使われています。経済や経営に数学を活かしてみたい皆さん、ぜひ来てください。