夢のエネルギー源として期待される核融合も、実際に核融合発電として利用されるには、核融合炉に燃料を注入しないと連続して運転ができません。その点では火力発電と同じです。核融合炉の炉心には、燃料の水素が超高温のプラズマ状態になって閉じ込められています。
そこに燃料供給する方法として、これまで燃料をガスで注入する方法と、ガスを氷にして打ち込む方法が研究されてきました。しかしガスのままだと、プラズマの表面から染みこむだけ。氷で弾丸のように打ちこむ方法も、途中で溶けて中心までは入ってくれません。新たな燃料供給の方法が必要とされていました。
プラズマの固まりにして燃料注入
そこで、核融合炉への燃料供給の方法として、先進的なコンパクトトロイドという、燃料を磁場で閉じ込められたプラズマの固まりにして注入する方法の研究を始めました。この方法なら超高速で入射するので中心まで到達し燃料を供給することができると考え、日本原子力研究開発機構と共同で、核融合炉で実証実験を行いました。現在も九州大学の高温プラズマ力学研究センターで実験を続けています。
燃料供給法が確立すれば、将来のエネルギー源として期待されている核融合炉発電の実現に向けて、課題の一つが解決できることになります。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→電機産業(電子、情報、電気と幅広く)
- ●主な職種は→技術者
- ●業務の特徴は→技術開発研究、電気・機器の施工・管理
分野はどう活かされる?
電機メーカーでの技術者、開発者、電力会社での発電所などにおける技術者など
「核融合」は、将来、国の発展、産業を支える基幹となるエネルギー源として期待されている、核融合炉発電実現に向けて研究をする学問分野です。「核融合」に関係した勉強や研究を考えると、大学での学科も多岐にわたります。
プラズマの物理なら、理学系の物理学や工学系の電気電子工学等があります。これらの学科は、プラズマを閉じ込めるのに使う超伝導コイルの開発研究で関わる場合もあります。シミュレーションや制御などなら、情報工学なども加わります。核融合炉なら、構造や材料の研究として、機械工学、材料工学も関わります。
実際には、もっと多くの選択肢がありますが、核融合という学問分野は、様々な進路(大学や学科)で携わることができます。
学部では、まだ核融合の専門的な教育はしませんが、電気系工学の専門基礎力をしっかりと身につけた上で、電気エネルギーの発生から利用までの電力システムに関する知識と技術、エレクトリニクスの基礎を支える電子物性から電気・電子材料に関する知識、これらの電気電子材料を活かしたデバイスに関する技術を習得することを目指します。卒業研究では、核融合に関係したプラズマの研究テーマがあります。
大学院では、小型で経済的な核融合炉が期待される、スフェリカルトカマクという方式でのプラズマの生成や維持の研究をしています。また、核融合炉の壁材料研究も行っています。さらに、共同研究として、九州大学の高温プラズマ力学研究センターの施設や、核融合科学研究所の設備を活用した、先進的な研究が行われています。
興味がわいたら~先生おすすめ本
核融合科学研究所HP
日本の最先端の核融合研究が行われている研究所のサイト。プラズマや核融合の話を、わかりやすく解説している。大型ヘリカル装置や、その他の研究についても紹介されている。写真も豊富で興味を惹かれるだろう。
(核融合科学研究所)
HPへ
日本原子力研究開発機構 核融合研究開発部門HP
日本の原子力研究の先端研究所が、核融合の話を分かり易く解説しているサイト。各部門での研究紹介はもちろん、トカマク装置などについての説明や、現在建設中のJT-60SA装置についても情報が発信されている。
(日本原子力研究開発機構)