設計工学・機械機能要素・トライボロジー

機械学習を活用した最適設計法の実用化を追求!


北山哲士 先生

金沢大学 理工学域 機械工学類 機械創造コース/自然科学研究科 機械科学専攻/設計製造技術研究所

どんなことを研究していますか?

ある機械を作るに、何をどのようにして設計すればよいかといったことを定量的に決定していく学問を、設計工学といいます。設計において解決すべき課題や要求がありますが、それに対して最適な答えを見出す方法を、最適設計法といいます。近年、機械学習を活用した最適設計法の研究が盛んに行われています。この方法は、データを段階的に追加していき、より精度の高い最適解を得るために機械学習を使います。機械学習とは、人間が行う学習能力と同様の機能をコンピュータで実現しようという人工知能研究の1つの分野です。

プラスチック成形部品のそりやひずみをシミュレート

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私は長年、最適設計法の実用化を中心に研究を進めてきました。具体的には、生産加工の現場で、プラスチック成形などの際に生じる部品のそりやひずみをおさえ、加工技術を向上させるには、どのような工程上の変数(パラメータ)を設定すればよいか、製品の設計・製造や工程設計の事前検討を行います。それには機械学習を活用した最適設計法を使ったコンピュータシミュレーションが有効です。またシミュレーションにとどまることなく、実験可能な場合は実験を行い、実用化に向けた手法の有効性を検証していきます。

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→製造業
  • ●主な職種は→研究員
分野はどう活かされる?

環境にやさしい車づくりやプレス機械の革新的成形法の開発などの生産技術は、すべて最適化技術を必要とする研究領域です。

興味がわいたら~先生おすすめ本

「理工系離れ」が経済力を奪う

今野浩

金融工学の研究者である今野浩先生(元東京工業大学、元中央大学)が理工系離れを憂う。日本の富を築いてきたのはエンジニアであり、理工系離れが進めば日本の未来はないと言う。工学部と経済学部の比較、工学部が抱える課題などを、東大や東工大などの現状を見てきた見地から述べる。 (日本経済新聞出版社)


すべて僕に任せてください 東工大モーレツ天才助教授の悲劇

今野浩

著者の今野浩先生(元東京工業大学、元中央大学)は数理計画法、金融工学の研究者で、書籍「工学部ヒラノ教授」シリーズでも知られる。その先生の弟子であり、天才と呼ばれ、40代でなくなった白川浩さんの研究者人生を描いた本。研究熱心でも、研究だけに没頭できない大学組織の中で研究を続けることの大変さを描いている。 (新潮社)


工学部ヒラノ教授

今野浩

この本、小説?ドキュメンタリー? 工学部で研究職につくことの現実を、赤裸々に、かつ、ユーモアを交え語っている。研究費の問題、文科省からの要望などに翻弄されながらも、研究者として必死に生きる姿を描く。著者は、筑波大、東京工業大、中央大で教鞭を取ってきた金融工学の研究者。その経験から執筆、工学研究者へのエールに満ちた内容となっている。工学の教員を目指す学生は一読しておくとよいだろう。 (新潮文庫)


新しいシステム工学入門 しなやかシステムズアプローチ

椹木義一、中森義輝、中山弘隆

著者の故椹木義一先生(京都大学名誉教授)は、「しなやかなシステムズアプローチ」を提唱。21世紀は複雑系の時代と捉え、人間は典型的な非線形であり複雑系であって、複雑な現実問題を解決するには人間の「しなやかさ」の活用が有力な手がかりと述べている。その考え方がわかる本。 (新OHM文庫)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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