ある機械を作るに、何をどのようにして設計すればよいかといったことを定量的に決定していく学問を、設計工学といいます。設計において解決すべき課題や要求がありますが、それに対して最適な答えを見出す方法を、最適設計法といいます。近年、機械学習を活用した最適設計法の研究が盛んに行われています。この方法は、データを段階的に追加していき、より精度の高い最適解を得るために機械学習を使います。機械学習とは、人間が行う学習能力と同様の機能をコンピュータで実現しようという人工知能研究の1つの分野です。
プラスチック成形部品のそりやひずみをシミュレート
私は長年、最適設計法の実用化を中心に研究を進めてきました。具体的には、生産加工の現場で、プラスチック成形などの際に生じる部品のそりやひずみをおさえ、加工技術を向上させるには、どのような工程上の変数(パラメータ)を設定すればよいか、製品の設計・製造や工程設計の事前検討を行います。それには機械学習を活用した最適設計法を使ったコンピュータシミュレーションが有効です。またシミュレーションにとどまることなく、実験可能な場合は実験を行い、実用化に向けた手法の有効性を検証していきます。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→製造業
- ●主な職種は→研究員
分野はどう活かされる?
環境にやさしい車づくりやプレス機械の革新的成形法の開発などの生産技術は、すべて最適化技術を必要とする研究領域です。
興味がわいたら~先生おすすめ本
新しいシステム工学入門 しなやかシステムズアプローチ
椹木義一、中森義輝、中山弘隆
著者の故椹木義一先生(京都大学名誉教授)は、「しなやかなシステムズアプローチ」を提唱。21世紀は複雑系の時代と捉え、人間は典型的な非線形であり複雑系であって、複雑な現実問題を解決するには人間の「しなやかさ」の活用が有力な手がかりと述べている。その考え方がわかる本。 (新OHM文庫)