近年、医学と工学の分野はますます密接に関わりを持つようになっています。最新の工学技術が医療を支える代表的な例として、インプラントがあります。インプラントは、人工歯の埋め込み材だけではなく、体内に埋め込まれる医療用部品全体を差します。骨折の治療で骨を固定するためのボルト、心臓ペースメーカーや人工内耳の埋め込み、あるいは豊胸手術で皮下浅く埋め込むのもインプラントです。こうした医療用部品には、工業用とは異なる開発が必要です。生産性ばかりでなく、人にやさしいものづくりを考えなければならないのです。
患部にフィットするインプラントや高骨伝導性を有する人工骨の開発
私は、生体適合性を考慮した材料成形に関する研究を進めています。その一つが、個々の患者の痛みを軽減し、患部にフィットするインプラント人工股関節の開発です。また、医学系大学の整形外科や脳神経外科との共同研究で、生体にやさしい医療機器や身体に及ぼす物理的負担の少ない手術器具の開発、高い骨伝導性を有する人工骨の開発を行っています。さらに、再生医療に使用する人工足場材料の有効性を遺伝子解析により明らかとしています。このように人にやさしい医療の実現に向けて取り組んでいます。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→機械工学系の製品や医療機器の開発
- ●主な職種は→生産技術、材料開発、設計、製品開発
分野はどう活かされる?
医学系研究者が気づけない工学的アプローチができることが強みです。
社会には病気で困っている人が多くいます。工学的知識を活用し、患者の負担が少ない治療に貢献できるようチャレンジをしてみませんか。