医療・健康系の本

比べてわかる! フロイトとアドラーの心理学

和田秀樹

作業療法は、病を持った人を助ける職業だから、人と接することが好きな人が適している。そして、まず自分を好きにならないと、なかなか他人は好きになれない。本書は心理学の代表的な2人、フロイトとアドラーの考え方が示されているが、本書を通じて、ありのままの自分を認めることができるようになってほしい。また、本書からは、人は一人ひとり、考え方が違うということが理解できる。同様に、体の複雑な機能のバランスも一人ひとり異なる。同じような症状に見えても、薬(特に心の病の薬)の効果がある人、ない人、悪化してしまう人がいることも書かれている。治療というものは非常に難しく、複雑であるということが少しでも理解してもらえればと思う。 (青春出版社)



日本でいちばん温かい会社 

大山泰弘

著者は、日本理化学工業というチョークを作る会社の会長だ。同社のチョークは、普通の石膏チョークのように粉が飛ばないエコなチョークで、ダストレスチョークと呼ばれている。しかし何より同社が知られているのは、障がい者雇用を始めて58年、全体の70%以上、知的障がいのある社員という。この本は会長の著書として最初「働く幸せ 仕事でいちばん大切なこと」という題名で出版されたが、評判を呼び、書名を改めた新版とした出版しなおされた。 (WAVE出版)



アレルギーの9割は腸で治る!

藤田紘一郎

アレルギーはいまや、日本人の国民病と言ってもよいほどの疾患になった。この本を読むことで、アレルギーは免疫疾患であることを理解し、また腸内細菌と免疫応答の関係を知ることができるため、免疫制御法を知るヒントとなるだろう。 (だいわ文庫)



村上もとか

幕末にタイムワープしてしまった脳外科医が、近代器具のない時代に既存の材料を駆使して病に挑むストーリー。蘭学の後期を扱ったもので、医学史の観点からも読める。テレビドラマ化もされており、大変よくできている。 (ジャンプコミックス)



皮膚は考える

傳田光洋

皮膚の持つ大きな役割と力、そして最新研究について、皮膚を「臓器」と位置付けて詳細に分かりやすく解説している。また、脳と皮膚には共通し互いに連携しあうといった様々な面白い関係があることを紹介している。 (岩波科学ライブラリー)



痴呆を生きるということ

小澤勲

「認知症」という呼び名になる前の旧名称の書籍ではあるが、認知症を有する当事者が生きる世界を、介護老人保健施設など現場に最も近い立場の著者が解説した、認知症ケア必読の書。認知症当事者の精神世界に光を当て、関わる家族や介護者の大きな支えとなった本。 (岩波新書)



腸内細菌の話

光岡知足

著者は微生物学者。腸内フローラの研究で「腸内細菌学」という新しい学問を世界に先駆けて樹立したパイオニアだ。腸内フローラとは、腸内に棲む多種多様な細菌のことで、数100種、数10~数100兆個が棲息すると言われている。この本はこれら腸内細菌の生態に触れている。生まれたてのころ赤ちゃんは無菌状態だが、成長とともに周りの人や環境から細菌を獲得していく。感染症内科学のある研究者は、「下痢症で腸内細菌がかく乱されても、また元通り健康が回復することもある」という。そのことから人体の防御のために生体にとって必須な成分が、腸内細菌との関与があるのでないかと考えられる。腸内細菌研究の奥深さ、面白さを知ることができる一冊。 (岩波新書)



突然死の話

沖重薫

心臓突然死の具体例を上げて、どのような病態で突然死につながる不整脈が発症するのか、比較的簡潔に説明している。心臓突然死研究の手始めとしてイメージをつかむのによいと思われる。この本は循環器内科学という学問で学ぶ心臓突然死や、高齢者に多い心房細動という不整脈の疾患そのものの理解に適している。これらのバックグラウンドを学ぶと、それぞれの疾患に対する発症予測と予防的な治療の重要性が理解できると考えられる。予防的な治療は、先に制するという意味で、先制医療と呼ばれている。この先制医療をどのように進めるべきなのか、ゲノム医学の観点からのアプローチについて触れている。 (中公新書)



少年たちの贖罪 罪を背負って生きる

青島多津子

重大事件を起こしてしまった少年たちのエピソードが語られる。著者は関東医療少年院に常勤の医師として勤務していた精神科医という。精神科医が「加害者にかかわるということ」に始まり、加害者の贖罪意識、加害者自身が負ってしまったPTSD(心的外傷後ストレス障害)、家族への思い、重大事件を背負って施設で暮らすということ、よく指摘される少年犯罪と発達障害の関係性、被害者に誠意を尽くすことや罪を背負って社会で生きていくことの意味などが、加害者個人が特定されないように配慮されながら書かれている。 (日本評論社)



脳には妙なクセがある

池谷裕二

脳は見たり聞いたりしたことを瞬時に理解し、次にどのような行動を取るべきかを判断している。脳内でどのようなことが起こっているかは不明な点は多いのだが、最近明らかになってきた脳の不思議な活動が述べられている。例えば、恋をすると脳の処理速度が早くなる話、寝ている間に記憶が定着する話、言語を獲得するきっかけとなった遺伝子の話など。筆者は周囲の環境から受ける刺激とそれに対する反応行動が基になり心が形作られてきたと考察している。これまで哲学や心理学といった文系領域で取り扱われてきた脳の働きや精神活動も、今後生物学的な知見に基づいて理解されることにより、精神疾患に対する新たな治療法が開発されると期待される。 (扶桑社新書)


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