賢く生きるより辛抱強いバカになれ

稲盛和夫、山中伸弥

科学技術に関する職を考えている人には、若いうちに読んでおくことをお勧めする本です。世の中に大きな功績を残した著者二人の対談で、彼らが行ったこと、生き方、考え方などから、人生の指針となる多くのことを学び取れると思います。

特に、「正しいかどうか」に基づく判断基準と行動原理は、若い皆さんには身につけていただきたいところです。例えば、終章にある、「高橋君、喜ぶな。たぶんこれは何かの間違いだ」と言える人であることは、きわめて大事です。今の研究の世界で、一体、これを言える人がどれだけいるのだろうかと思います。

すなわち、多くの研究者は根底において栄誉欲や他人を出し抜きたいという欲で動かされているために、“ポジティブな結果”に対する批判精神や社会への責任感が薄弱です。そのため、学生などが持ってきた結果に一緒になって興奮し舞い上がってしまう(その結果、主観的な肯定表現が多く、いい加減な、時には後になって撤回するような結果を公表する)研究指導者が多くなってしまいました。これは嘆かわしいことです。

未来の世界を支えてゆく皆さんには、小さな自我の満足のためではなく、多くの人々が住む社会に対する責任のために判断・行動をする人になっていただければと思います。 (朝日文庫)

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