ことば・物語って、歴史・文化って

選んでいただいたフィールドの本はこちら。さあ、もっとみてみよう。

金属が語る日本史 銭貨・日本刀・鉄炮

齋藤努

この本は文化財を科学的に調査することの意義を明確に述べたうえで、銭貨、日本刀、鉄砲などの分析事例をわかりやすく述べている。日本で最初の流通貨幣と言われる和同開珎の銅含有量など、本書を通じてX線や電子線が、古代の金属製品の性質を明らかにする面白さが伝わってくる。プロローグp1~11では、文化財科学とはなにかについて述べており、「文化財科学」という学問領域の入門書としてもすぐれている。 (吉川弘文館)



歴史・地理

環境考古学への招待 発掘からわかる食・トイレ・戦争

松井章

遺跡から出土する動物の骨や植物の種などを研究すると、昔の人の食生活もわかる。古代の便所を発掘すると、寄生虫の卵なども発掘され、川魚を刺身で食べていたことも推測できる。考古学の中でも、特に動物や植物など人間のまわりの自然環境と関わる分野を環境考古学と呼ぶ。著者は骨の専門家なので、人骨についた傷あとから戦闘の様子を生々しく再現する様が語られる。物的証拠を扱う考古学が、警察の鑑識のような仕事に近いこともよくわかるだろう。著者の体験談を中心に説得力を持って語られて興味深い。 (岩波新書)



文学・芸術

諸葛孔明伝 その虚と実

渡邉義浩

『三国志』に登場する劉備の軍師として知られる諸葛孔明。著者は『三国志』、『後漢書』、『後漢記』、『華陽國志』などの資料の分析を通し、「正史」としての『三国志』や時代小説『三国志演義』に描かれる、諸葛孔明の虚像と実像に迫る。 (新人物文庫)



「私」をつくる 近代小説の試み

安藤宏

夏目漱石、芥川龍之介、太宰治などの近代日本の小説の名作を、「私」をつくる試行錯誤の歴史として考察する。自己表現とは「私」の「演じ方」だという問題提起は、「表現」について考える際の欠かせない視点を提供してくれる。 (岩波新書)



大学生のための文学トレーニング 近代編

河野龍也ほか

文学を「読む」ものから「考える」ものへ。単なる感想文とは異なる「レポート」や「論文」の書き方に戸惑う学生を対象に、近代文学研究の歴史と方法を知ってもらうために編まれた一冊。「大学生のための」とあるが、文学史の暗記に疲れた受験生、文学の面白さがよく分からないという高校生にこそ手に取ってほしい。本書収録の資料を使い、調べものをすることで、同じ作品から全く違った光景が見えてくる「文学研究」の醍醐味を実感することができる。収録資料は、写真・地図・新聞記事など、原資料が極力そのまま掲載されている。「トレーニングシート」が付いており、簡単な創作をしたり、他の学生と意見交換したりする課題もあって楽しめる。 (河野龍也、佐藤淳一、古川裕佳、山根龍一、山本良:編著/三省堂)



文学・芸術

あさきゆめみし

大和和紀

「源氏物語」漫画の中では、すでに古典と言ってもよいだろう。おおむね原作に忠実に描かれており、平安朝の生活様式などを詳細に調べて漫画化している。日本語以外の言語にも翻訳されているので、あわせて読んでみるとよいだろう。 (講談社)



文学・芸術

漢詩のレッスン

川合康三

試験に合格した喜び、恋人との別れ、はるかな故郷への思いなどを詠んだ、唐代の絶句15首がわかりやすく解説。現代に生きる我々にも共有できる様々な思いに共感を抱くことも、詩を読む楽しみのひとつだが、その思いがどのような言葉で表現されているかを味わうことにこそ詩を読む面白さがある。詩人というのは、どんなに深刻な思いを描く場合でもそれをどのような言葉で表現するかを思い悩み、その活動を楽しんでいるふしがある。中国文学研究の面白さのひとつは、詩人が心の奥深いところで楽しんでいる活動を追体験することだと言えるだろう。 (岩波ジュニア新書)



文学・芸術

戦国の日本語

今野真二

古文の授業でもほとんど接する機会のない、中世(戦国時代)の日本語について知ることができる。武士の連歌、公家の日記、秀吉の書状など、多様な史料を用いて、当時の言葉の世界を描く。読者はこんな日本語があったのかと驚くことだろう。 (河出ブックス)



文学・芸術

ことばと国家

田中克彦

日本にいると日本語を話せて、学校教育を日本語で受けられるのが当然と考えがちだが、そのような社会は非常にまれだ。多数の言語を併用する国は多く、国家によって、それらの言語の扱い方は様々である。また、どんなに話者数が少なくても、言語そのものは国家の公用語や英語のような大言語と比べて劣っているわけではない。それぞれの言語はそれぞれの社会を反映して、豊かな語彙や表現を持っている。そうした言語的な豊かさを守りつつ、すべての人が平等に社会に参加できる方法を考えるのがこの分野の目的の一つである。言語学を学び始める時の必読書。国家とことばがどのように関わっているのかを知るための様々なヒントを与えてくれる。 (岩波新書)



音とことばのふしぎな世界

川原繁人

言語に関する学問は文系と思われるかもしれないが、文系理系の違いにとらわれることなく物事をとらえることが大切。言葉の音とはどのようなものかについて、わかりやすくまた興味深くまとめられている。言語を客観的に考えるとはどういうことか、どんな知識が必要かということを知る上でも役に立つ。出版社のサイトには、本で取り上げられた音声が動画で掲載されている。また、授業などで簡単に利用できる練習問題が、以下のサイト掲載。http://user.keio.ac.jp/~kawahara/iwanami.html (岩波科学ライブラリー)



外国語学習の科学 第二言語習得論とは何か

白井恭弘

タイトルが示すとおり、外国語学習を科学的に見るとどういうことが言えるかを、平易な文章でまとめた新書。第二言語習得論を踏まえることで、外国語学習過程の様々な現象がどのように説明できるか、自分の英語学習経験と照らし合わせて読んでほしい。学習法の改善につながるヒントやアドバイスなどもたくさん書いてある。また、第二言語習得研究・言語教育学を学んでいく上で大事な物の考え方や実証研究例などが簡単にまとめられており、かつ非常に読みやすいので、この分野の入門書として最適である。 (岩波新書)



文学・芸術

その一言が余計です。 日本語の「正しさ」を問う

山田敏弘

「こちらでよろしかったですか」や「コーヒーになります」など、アルバイトで間違った敬語と言われる言葉にも、成立した理由がある。一方、老人達は若者の言葉を責め立てる。その理由は何なのか。様々な表現を賛否両面から検討した、中高生にも理解しやすい一冊。日本語学は、学問成果を積み上げるだけでなく、すべての日本語使用者に還元できる知見を蓄積するもの。本書は、言語研究者ならだれでも言う、「言語変化は当然だ」という観点で保守的な考え方を捨てるよう諭すのではなく、なぜ保守的な考えを持つのかも考えるという、学問分野の知見をよりよく社会に還元する方法を考える。 (ちくま新書)



文学・芸術

表現を味わうための日本語文法

森山卓郎

教科書に載っているような文章をはじめとして、詩人や作家の文章、ヒットソングの歌詞や駅のアナウンスなどなど。さまざまな日本語の表現に接したとき、日本語の仕組みを知っているとこんなにも読み方が変わる、味わえるということが実感できる。知的好奇心をくすぐる一冊。 (岩波書店)



文学・芸術

しぐさで読む美術史

宮下規久朗

美術の中心であった人間像のうち、しぐさやポーズから美術作品を読み解く。美術作品には、様々な意味が込められており、人物のしぐさ1つにも意味がある。しぐさがどのような感情を表すかを知った上で絵画を見ると、画家が表現する「物語」が浮かび上がる。走る、踊る、殴る、食べるなど、しぐさごとに絵画の意味が解説されている。 (ちくま文庫)



文学・芸術

Multicultural Japan 多文化社会日本の道しるべ

Carolyn Wrightほか

英語のテキストだが、多文化・多言語社会へと向かっていく日本の社会の問題、例えばアイヌ語や沖縄語の将来、日本育ちの外国籍クラスメート、日本のインターナショナルスクール、外国人住民が暮らす地域の事情など、多文化社会の諸問題について知り、一緒に考えることができる。 (Carolyn Wright、Colin Sloss、木村麻衣子、斎藤早苗、河原俊昭、高垣俊之/南雲堂)



歴史・地理

漂流するトルコ 続「トルコのもう一つの顔」

小島剛一

トルコの魅力は、世界一の親日国と呼ばれることや、世界的な観光地のイスタンブールやカッパドキアを持つことだけではない。実際に著者が体験した、多民族国家トルコにおける迫真のドキュメントを紹介する。 (旅行人)



科挙

宮崎市定

10世紀以降の中国社会を知るための必読書。かつて中国で行われた官吏登用のための超難関試験「科挙」。中国全土の秀才たちによる熾烈な争いとその制度のメリット、デメリットなどについて、読みやすい文章で詳細に語っている。 (中公新書)



歴史・地理

古代への情熱

シュリーマン

実業家として成功した著者が、私財をつぎこんでギリシア神話に登場するトロイアを発掘し、その存在を実証していく自伝。シュリーマンが少年時代から成人するまで情熱を持ち続けたことが、物事を成就させたのだということが生き生きと伝わってくる。 (村田数之亮:訳/岩波文庫)



歴史・地理

幕末日本と対外戦争の危機 下関戦争の舞台裏

保谷徹

長州藩vs.欧米列強の下関戦争は、日英全面戦争になりえる懸念があった。そうした日本の幕末の危機を、イギリスの外交文書を駆使して解説する。 (吉川弘文館)



わたしの外国語学習法

ロンブ・カトー

著者は18カ国語で同時通訳ができる通訳者。訳者はロシア語通訳者・作家としての著名人。外国語の基本は語彙と文法だが、語学力の最高峰ともされる同時通訳者が、どのように多数の言語を高いレベルで習得したかのコツを語る。また、通訳研究はあくまで実践的なコミュニケーションに役立たないと意味がないが、実務家として生きた著者が、通訳者としての実践に際しての心がまえ、通訳技術について率直に語っている。 (米原万里:訳/ちくま学芸文庫)


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