ことば・物語って、歴史・文化って

選んでいただいたフィールドの本はこちら。さあ、もっとみてみよう。

歴史・地理

地図から読む歴史

足利健亮

地図に残された過去の断片を探し出し、そこを出発点として過去の景観がどのようなものかを復原し、人々がそこでどのように景観をつくりだしたのかを明らかにする歴史地理学の本。地図を出発点として大胆な推理を行い、古い文書の内容や考古学の成果を踏まえてその推理を検証していく謎解きの過程にはワクワクする。歴史地理学は、現代社会の地域的課題を理解するときにも有効な手段となりえる。地図を読み解くプロセスを大いに楽しんでほしい。 (講談社学術文庫)



文学・芸術

フランツ・カフカ

代表作『変身』で知られ、人間の存在の不条理を描いた作品を多く残す、カフカの長編小説。測量士のKは、伯爵家から城に呼ばれる。しかしなぜ呼ばれたかわからないまま、しかも呼ばれたというのに城に入ることのできない。そんな不条理を描く。 (前田敬作:訳/新潮文庫)



哲学・思想

言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学

野矢茂樹、西村義樹

「ことばの科学」言語学には、様々なアプローチがあり、その1つが「認知言語学」だ。認知言語学の入門書として、もっとも楽しくてためになるのが本書。1980年代から90年代にかけて大きく発展した認知言語学は比較的新しい領域だが、扱われるのは人類の歴史の中で長年論じられきた、「ことば」と「こころ」の問題。昨今はコンピュータによる統計処理が言語学に導入されるようになってきたが、認知言語学の理論自体は古くからある言語学上の、あるいは哲学上の理論や考え方に大きく根ざしている。本書からは、認知科学の一分野である認知言語学の「古くて新しい」特徴が見えてくるだろう。 (中公新書)



わたしの外国語学習法

ロンブ・カトー

著者は18カ国語で同時通訳ができる通訳者。訳者はロシア語通訳者・作家としての著名人。外国語の基本は語彙と文法だが、語学力の最高峰ともされる同時通訳者が、どのように多数の言語を高いレベルで習得したかのコツを語る。また、通訳研究はあくまで実践的なコミュニケーションに役立たないと意味がないが、実務家として生きた著者が、通訳者としての実践に際しての心がまえ、通訳技術について率直に語っている。 (米原万里:訳/ちくま学芸文庫)



歴史・地理

古代オリンピック

桜井万里子、橋場弦:編

古代ギリシアで開かれたスポーツの祭典、古代オリンピック。古代ギリシア人が大変重視した古代オリンピックの実情を、考古遺物や文献史料、碑文史料などから分析しており、古代ギリシアの人々が私たちとは異なる世界観の中で暮らしていたことを知ることができる。またさらに、近代オリンピック創設したりした近現代ヨーロッパ世界の人々が、古代ギリシアという「過去」をどのようなものとみなし、どのように利用していたのか、歴史観の変化にも触れることもできる。 (岩波新書)



反楽園観光論 バリと沖縄の島嶼をめぐるメモワール

吉田竹也

青い空、白い雲、サンゴ礁や熱帯魚などに彩られた「楽園」の甘美なイメージは、癒しをもとめる観光客を引きつけるが、世界の各地にあるそうした「楽園」観光地の多くは様々な問題を抱えている。本書は、インドネシアのバリ島と日本の沖縄を例に、楽園観光とは何か、そのメカニズムを考察した、南山大学吉田竹哉先生の著書。本書から、観光の可能性と限界について考えてほしいと語る。吉田先生は、さらに、楽園観光地に生きる人々にとっての観光とは何かに主題を移し、人類学やその周辺諸学の幅広い知見を総合した研究に取り組んでいる。 (樹林社)



文学・芸術

日本語と外国語

鈴木孝夫

虹は7色ではなく、6色だとする国、3色だとする地域もあるが、これは言語によって異なるのだという。太陽の色も言語によって赤だったり黄色だったり! こうした言語による表現の違いなどを、様々具体例から知ることができる。外国語は読み書きできても、その言語の背後にある文化を知らなければ真の理解は難しい。日本語や漢字の長所についても考察されている。 (岩波新書)



ヒストリエ

岩明均

古代ギリシアが舞台、アレキサンダー大王に仕えた書記官・エウメネスの物語。思想家アリストテレスなども登場する。個人や集団がそれぞれの背景・文脈・世界観に束縛されつつ、相互に作用を及ぼし合って歴史を形作っていく描写が、とても興味深い作品だ。(ただし、青年向けの漫画のため、残酷な描写が冒頭から頻繁に登場するため苦手な人にはお勧めできないので注意してほしい。) (講談社コミックス)



文学・芸術

日本語の歴史

山口仲美

日本語が歴史的にどのように変化してきたのかが、時代ごとの特徴があらわれた分野を中心に、わりやすく書かれている。まずこのような本で、日本語の歴史・時代的な変化について関心を持ってもらいたい。 (岩波新書)



老いてゆくアジア 繁栄の構図が変わるとき

大泉啓一郎

近年のアジアは経済発展が著しいが、日本のみならず、アジア諸国は等しく深刻な高齢化の問題を抱えている。この本は経済成長と人口構成の問題を興味深く論じている。 社会保障の制度が整っていないアジアの将来を描く。 (中公新書)



わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か

平田オリザ

著者は、劇作家・演出家。ごく普通の人間同士の自然な会話や動きによる「静かな演劇」と呼ばれる新しい演劇のスタイルを打ち出し、世界の演劇界に大きな影響を与えた人物だ。そんな平田氏は、コミュニケーション能力を高めるには伝わらない経験が大事、コミュニケーションは慣れだと説く。コミュニケーションがないと嘆く若者へ。 (講談社現代新書)



文学・芸術

三国志

横山光輝

漫画界の巨匠・横山光輝が、吉川英治の『三国志』を基調に自身の解釈を加え、漫画で、黄巾の乱から蜀の滅亡まで、中国の三国時代の様々な攻防戦や人間関係を描いた大作。ストーリーもわかりやすく、登場人物に共感を懐くことができ、三国時代を知る上で非常に有益。三国志だけあって、60巻まで出版されている。 (潮出版社)



文学・芸術

外国人と一緒に生きる社会がやってきた! 多言語・多文化・多民族の時代へ

河原俊昭、山本忠行編

クラスに外国籍クラスメートが転校してきたといったエピソードをもとに多言語社会の課題を考える。「外人」と呼んで仲間はずれにするのか友達になるのかといったことを考える機会を与えてくれる。文化の違いからお弁当を持参しなかったり、母国の国民の休日に休んでしまったり。学校で何が起こっているか、外国籍を持つお父さんやお母さんの悩みや先生たちの悩みなどが本書を通して見えてくる。外国語教育の視点では、例えば「目玉焼き」は英語で”sunny-side up”と言うが、「アメリカ人は太陽を連想しながら目玉焼きを食べるのかな」というように、言葉から考え方や思考も様々であることに気づくような、道しるべのような本でもある。 (くろしお出版)



大学生のための文学トレーニング 近代編

河野龍也ほか

文学を「読む」ものから「考える」ものへ。単なる感想文とは異なる「レポート」や「論文」の書き方に戸惑う学生を対象に、近代文学研究の歴史と方法を知ってもらうために編まれた一冊。「大学生のための」とあるが、文学史の暗記に疲れた受験生、文学の面白さがよく分からないという高校生にこそ手に取ってほしい。本書収録の資料を使い、調べものをすることで、同じ作品から全く違った光景が見えてくる「文学研究」の醍醐味を実感することができる。収録資料は、写真・地図・新聞記事など、原資料が極力そのまま掲載されている。「トレーニングシート」が付いており、簡単な創作をしたり、他の学生と意見交換したりする課題もあって楽しめる。 (河野龍也、佐藤淳一、古川裕佳、山根龍一、山本良:編著/三省堂)



文学・芸術

ファッションから名画を読む

深井晃子

美術に興味がある人もない人も、自分なりの着眼点があると、より作品鑑賞を楽しむことができる。ファッションもその一つ。大きな手掛かりとなる。本書は、誰もが一度は目にしたことがある名画を「ファッション」という切り口で捉えたとき、何が見えるのかを丁寧に教えてくれる。これまでなんとなく美術作品を見ていた人も、本書を読んだ後は、きっと新しい絵画の魅力に気づくことだろう。 (PHP新書)



身ぶりと言葉

アンドレ・ルロワ=グーラン

人類の誕生と進化を、生物学、考古学などを融合させた幅広い独特の視点で語る。動物と人間との違いは何だったのかを、「身ぶり」と「言葉」の視点から考える。石器を作る技術の進化から、知能や言語能力の進化を解き明かす、スケールの大きな著作。 (荒木亨:訳/ちくま学芸文庫)



文学・芸術

舟を編む

三浦しをん

言葉に対して敬意を持ち、辞書編纂に取り組む辞書編集部や言語学者の姿勢を、人間味もたっぷりと描いた、清々しい物語。辞書編纂について、入門的に知ることができる。 (光文社文庫)



都市空間のなかの文学

前田愛

近代文学の名作に登場する「地名」に注目し、それが読者の無意識にどう作用するのかを丹念に検証した、文学研究に新風をもたらした古典的な一冊。ストーリーや登場人物の心理だけが文学だと思っている人には、驚きの連続となるだろう。平易な文章で初心者にも面白く、街の歴史散歩にも最適。 (ちくま学芸文庫)



歴史・地理

漂流するトルコ 続「トルコのもう一つの顔」

小島剛一

トルコの魅力は、世界一の親日国と呼ばれることや、世界的な観光地のイスタンブールやカッパドキアを持つことだけではない。実際に著者が体験した、多民族国家トルコにおける迫真のドキュメントを紹介する。 (旅行人)



不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か

米原万里

ロシア語同時通訳者という実体験に基づいて、通訳とはどんな職業なのか、何が求められるのかといったことが、軽快な文章でエッセイにまとめられている。日本の国語の授業の在り方への意見もぜひ読んでほしい。 (新潮文庫)


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