睡眠や体温のリズムを脳はどのように制御しているのか
腹時計はお腹ではなく脳にある
朝に目が覚めて、朝ごはんを食べて学校に行き、昼ご飯を食べ、部活等に励み、夜ご飯を食べて、寝る。私たちが普段何気なく繰り返すこの1日の生活、実は、頭の中の脳が、目覚まし時計などに頼らず、身体の「時刻」を覚えているからこそできる芸当です。
腹時計という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、腹時計の実体はお腹ではなく頭(脳)、それもたった1立方mmの小さな脳部位(視交叉上核 といいます)にあるとされています。
1立方mmの視交叉上核がリズムを決める
視交叉上核は、目を介して外の明るさを感じており、外の明るい/暗いのリズム(すなわち昼夜のサイクル)に合わせて、食事の時間(腹時計)だけではなく、朝いつ起きて夜いつ寝るのか、血圧をいつ上げるのか、体温をいつ高めるのか、ホルモンをいつ出すのかといった、さまざまな身体の変化のタイミング(サーカディアンリズム)を決める役割を担っています。
ヒトの脳の大きさは1,000,000立方mm以上あります。全体からしてたった100万分の1の大きさしかない視交叉上核が、身体のサーカディアンリズムを決定するには、どうすればよいのでしょうか?実は、人間は未だにこの答えを得ることができていません。
視交叉上核はどういった神経回路を使うのか
ネズミを使った実験により、睡眠/覚醒のリズムや体温のリズムは、視交叉上核を起点とした異なる様式(神経回路)で個別に制御を受けているとされていますが、視交叉上核がどういった神経回路を使って、睡眠覚醒・体温をはじめとした身体のサーカディアンリズムを個々に制御するのかは、ほとんどわかっていないのが現状です。
私は現在、この神経回路を解き明かすために、新しい「からくり」を作り上げ、視交叉上核が時刻を発信するしくみを明らかにしようとしています。
もともと大学生・大学院生時代に、神経科学の研究をしていましたが、そのときは「痛み」に関係した研究に携わっていました。その研究を進める中で、現在の神経科学の実験の技術的な限界(神経回路をたどるのは案外難しい)ということに気づきました。
現職に就くまでに米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校に留学していましたが、そのときは、世界で初めてミトコンドリアの電気的な活動を直接評価する仕組みを開発した教授のもとで研究していました。そのなかで、やはり新しい生物学を切り拓くためには、新しい仕組みの開発が必須であろうと思うに至り、現在の神経科学でのツールづくりのテーマを提案するに至りました。
◆主な業種
(1) 薬剤・医薬品
(2) 食品・食料品・飲料品
(3) 病院・医療
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 薬剤師等
◆学んだことはどう生きる?
研究室の学生は薬学部出身であることもあり、主に製薬業界で、薬のタネを創る研究職と、薬がヒトに効くのかどうかを調べる開発職に就職しています。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 生まれ変わって猫アレルギーが無くなるのならば、獣医学部に行きたいです。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? イタリアのオルヴィエートという街がとても雰囲気が良く、住んでみたいです。 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? マンドリンオーケストラというサークルでクラシックギターを弾いていました。 |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 子供が最近生まれたので、毎日元気をもらっています。 |