神経解剖学・神経病理学

体内時計

睡眠や体温のリズムを脳はどのように制御しているのか


三宅崇仁先生

京都大学 薬学部(薬学研究科 創発医薬科学専攻システムバイオロジー分野)

出会いの一冊

時計遺伝子 からだの中の「時間」の正体

岡村均(講談社ブルーバックス)

体内時計の正体は何なのか、といったベーシックな知識が得られるだけではなく、「寝る前にスマホは見ない方が良い」「寝る子は育つ」といった、普段耳にするけれども本当の理由はよくわからない教訓について、科学的な回答が掲載されており、日常生活を送るうえで体内時計がいかに大事なのかに改めて気づかされる一冊です。

こんな研究で世界を変えよう!

睡眠や体温のリズムを脳はどのように制御しているのか

腹時計はお腹ではなく脳にある

朝に目が覚めて、朝ごはんを食べて学校に行き、昼ご飯を食べ、部活等に励み、夜ご飯を食べて、寝る。私たちが普段何気なく繰り返すこの1日の生活、実は、頭の中の脳が、目覚まし時計などに頼らず、身体の「時刻」を覚えているからこそできる芸当です。

腹時計という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、腹時計の実体はお腹ではなく頭(脳)、それもたった1立方mmの小さな脳部位(視交叉上核 といいます)にあるとされています。

1立方mmの視交叉上核がリズムを決める

視交叉上核は、目を介して外の明るさを感じており、外の明るい/暗いのリズム(すなわち昼夜のサイクル)に合わせて、食事の時間(腹時計)だけではなく、朝いつ起きて夜いつ寝るのか、血圧をいつ上げるのか、体温をいつ高めるのか、ホルモンをいつ出すのかといった、さまざまな身体の変化のタイミング(サーカディアンリズム)を決める役割を担っています。

ヒトの脳の大きさは1,000,000立方mm以上あります。全体からしてたった100万分の1の大きさしかない視交叉上核が、身体のサーカディアンリズムを決定するには、どうすればよいのでしょうか?実は、人間は未だにこの答えを得ることができていません。

視交叉上核はどういった神経回路を使うのか

ネズミを使った実験により、睡眠/覚醒のリズムや体温のリズムは、視交叉上核を起点とした異なる様式(神経回路)で個別に制御を受けているとされていますが、視交叉上核がどういった神経回路を使って、睡眠覚醒・体温をはじめとした身体のサーカディアンリズムを個々に制御するのかは、ほとんどわかっていないのが現状です。

私は現在、この神経回路を解き明かすために、新しい「からくり」を作り上げ、視交叉上核が時刻を発信するしくみを明らかにしようとしています。

脳神経細胞に遺伝子を入れることで、細胞が緑色に光るように細工してあります。この写真に写っているのは、記憶に大事な海馬と呼ばれる脳領域です。
脳神経細胞に遺伝子を入れることで、細胞が緑色に光るように細工してあります。この写真に写っているのは、記憶に大事な海馬と呼ばれる脳領域です。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

もともと大学生・大学院生時代に、神経科学の研究をしていましたが、そのときは「痛み」に関係した研究に携わっていました。その研究を進める中で、現在の神経科学の実験の技術的な限界(神経回路をたどるのは案外難しい)ということに気づきました。

現職に就くまでに米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校に留学していましたが、そのときは、世界で初めてミトコンドリアの電気的な活動を直接評価する仕組みを開発した教授のもとで研究していました。そのなかで、やはり新しい生物学を切り拓くためには、新しい仕組みの開発が必須であろうと思うに至り、現在の神経科学でのツールづくりのテーマを提案するに至りました。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「神経間シナプス接続捕捉システムが明かす「時刻」の出力回路基盤」

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もっと先生の研究・研究室を見てみよう
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 薬剤・医薬品

(2) 食品・食料品・飲料品

(3) 病院・医療

◆主な職種

(1) 基礎・応用研究、先行開発

(2) 薬剤師等

◆学んだことはどう生きる?

研究室の学生は薬学部出身であることもあり、主に製薬業界で、薬のタネを創る研究職と、薬がヒトに効くのかどうかを調べる開発職に就職しています。

先生の学部・学科は?

先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

くすりをつくる研究者の仕事 薬のタネ探しから私たちに届くまで

編:京都大学大学院薬学研究科(化学同人)

私の所属する京都大学薬学部で行われている研究について、平易な言葉で解説されています。大学の研究とはどういうものなのか?という問いの答えが載っているかもしれません。


小説みたいに楽しく読める 脳科学講義

大隅典子(羊土社)

脳神経とはそもそも何なのか?といった基本的なことについて読みやすい文章で学ぶことができます。脳や神経に興味がある方におすすめです。

一問一答
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は?

生まれ変わって猫アレルギーが無くなるのならば、獣医学部に行きたいです。

Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?

イタリアのオルヴィエートという街がとても雰囲気が良く、住んでみたいです。

Q3.大学時代の部活・サークルは?

マンドリンオーケストラというサークルでクラシックギターを弾いていました。

Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

子供が最近生まれたので、毎日元気をもらっています。


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