無機工業材料

二酸化炭素の吸収材料

二酸化炭素を吸収する材料で、カーボンニュートラルに貢献する


柳瀬郁夫先生

埼玉大学 工学部 応用化学科(大学院理工学研究科 物質科学部門)

出会いの一冊

ホーキング、宇宙を語る ビッグバンからブラックホールまで

スティーヴン・W. ホーキング(ハヤカワ文庫)

材料開発とは直接には関係がありませんが、遠い世界(宇宙)に思いを馳せながら、科学への興味を蓄積していた頃に読んでいました。

こんな研究で世界を変えよう!

二酸化炭素を吸収する材料で、カーボンニュートラルに貢献する

温室効果ガスの排出量をゼロに

2050年までに温室効果ガスの実質的な排出量をゼロにする、という世界的な目標を達成するためのキーワードにカーボンニュートラルがあります。皆さんも聞いたことがあると思います。

このカーボンニュートラルに貢献できる新しい無機材料を、化学の立場から開発することが、私の研究テーマです。無機材料とは、金属やプラスチックス(有機物)とはちょっと違っていて、皆さんの身の回りのものでいうと、お茶碗や湯呑などの陶磁器をルーツに持つセラミックスのことです。

安いコストで合成できる材料

私が今回紹介するカーボンニュートラルに貢献する材料は、ナトリウムと鉄と酸素からできているナトリウムフェライトという無機材料(図1)です。

ナトリウムは塩として、鉄は地中の鉱物として、多量に地球に存在しています。そのため、ナトリウムフェライトは、安いコストで合成できる材料であることも魅力の一つです。私は、このような利点にも着目して、ナトリウムフェライトの二酸化炭素の吸収材料としての開発を進めてきました。

大阪・関西万博で実証試験

民間企業とともに、国から研究支援を受けながら高性能な分析装置(図2)を使って、ナトリウムフェライトの実用化に向けた開発を進めています。現在、大阪・関西万博で実証試験が行われていて、世の中に役立つまであと一歩のところまで来ました。

材料開発は、基礎から応用まで幅広くて、とてもやりがいのある研究分野です。

(図1)ナトリウムフェライトの粉末を10万倍に拡大した電子顕微鏡写真です。300ナノメートル前後のサイズをもつ粒子が観察できます。1ナノメートルは、10億分の1メートルです。ものすごく小さな領域で二酸化炭素が吸収されます。
(図2)二酸化炭素の吸収量を調べる分析装置です。大学生になると研究室では高度な装置も使えるようになります。
(図1)ナトリウムフェライトの粉末を10万倍に拡大した電子顕微鏡写真です。300ナノメートル前後のサイズをもつ粒子が観察できます。1ナノメートルは、10億分の1メートルです。ものすごく小さな領域で二酸化炭素が吸収されます。
(図2)二酸化炭素の吸収量を調べる分析装置です。大学生になると研究室では高度な装置も使えるようになります。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

漠然と科学に興味を持っていた高校生の頃、室温超電導ブームがありました。これまでは、超低温でしか発現しない超電導が室温でも発現する、そんなニュースがきっかけで世界がザワツキました。残念ながら当時のこのブームは産業には結びつきませんでしたが、これが、新しいものを生み出して世の中に役立てられる材料開発に興味を持つきっかけとなりました。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「層状構造等をもつセラミックスを用いた空気中二酸化炭素の室温高速吸収無機固体の創成」

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学生たちはどんなところに就職?

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先生の学部・学科は?

化学を基にして、無機材料、有機材料、バイオテクノロジーなど様々な応用化学を学ぶことができます。もちろん、そのための基礎化学(無機化学、有機化学、物理化学など)をしっかり学習します。興味ありましたら、下記のHPをみてください。
https://www.apc.saitama-u.ac.jp/

先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

温暖化、どうしておきる?

保坂直紀(岩崎書店)

地球温暖化の仕組みがわかりやすく書かれています。二酸化炭素はどうして減らさなくてはいけないのか。そんな疑問に答えてくれます。


温暖化はとめられる?

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地球温暖化を抑制するために、人間ができることは何だろう。二酸化炭素の吸収材料の開発も一つの手段にすぎません。様々な技術がわかりやすく紹介されています。

一問一答