水害から暮らしを守る「ルール」づくり―未来をデザインする法学
増加する水害 保険の仕組みを維持できるか
スマホに届く大雨警報。毎年のように報じられる台風や集中豪雨による洪水被害。「大変だな」とは思うけれど、どこか遠い場所のお話だと感じていませんか?でも、もしそれがあなたの住む町で起きたとしたら……。自宅が水に浸かり、大切な思い出の品も勉強道具も、すべて失われてしまうかもしれません。想像しただけで、不安になりますよね。その不安に、法はどう応えるのか。
日本には、被災者生活再建支援制度などによる公的な支援があります。ただ、それだけで元の生活を取り戻すのは簡単ではありません。そこで重要になるのが民間の保険です。日本の「火災保険」(火災などによって自宅が損害を受けた際に、修繕や再建に必要な費用を補償してくれる保険)の多くは、水害による損害もカバーできる仕組みになっています。しかし、近年の水害の増加によって、このような保険の仕組みを維持できるかどうかが課題となっています。
アメリカには連邦政府の洪水保険がある
私は、アメリカの連邦政府が運営する洪水保険制度(National Flood Insurance Program)を、法学の視点から研究しています。アメリカでは、民間の保険は洪水を補償の対象外としている場合があります。そのため、連邦政府が運営する特別な「洪水保険」に加入していないと、保険金が受け取れないことが多いです。なぜ、日本とアメリカでここまで仕組みが違うのでしょうか?
水害リスクに応じて保険料が変わる
また、「保険があるから安心だ」と考えて、かえって危険な地域に人が住み続けてしまうという問題もあります。これを「モラルハザード」と呼びます。このような問題に対応するために、危険性が高い地域に住んでいる人には高い保険料を請求し、逆に危険性が低い地域に住んでいる人には低い保険料を請求する形で調整されています。
ただ、保険料を高くし過ぎると保険に加入できない人が出てきてしまうため、高くなり過ぎないような調整も行われています。そのため、危険性が低い地域に住んでいる人が、危険性が高い地域に住んでいる人の保険料を部分的に負担しているということが起こってしまっています。こういった保険料の仕組み(負担と相互扶助のバランスを図る仕組み)は公平で継続的なものといえるのでしょうか?
未来の「法の土台」をつくる創造的な学問
このような問題を法はどのように解決すべきか。誰の権利を、どこまで守るべきか。そのために、新しいルールをどう設計(デザイン)すればいいのか。気候変動などの影響で水害が激甚化する現代において、日本にとっても喫緊の課題となっています。
法学とは、条文の内容や過去の判例・学説を学ぶだけの学問ではありません。社会の変化に対応し、人々の暮らしを守るための未来の「法の土台」をつくる、創造的な学問なのです。島根大学法文学部法経学科は、少人数教育の強みを活かし、教員と学生が一緒に議論しながら、地域から世界まで幅広い視点で法を探求できる環境があります。未来をデザインする法学の面白さを、一緒に探求してみませんか。
毎年のように水害のニュースを見て、多くの人々が家や財産を失う姿を目の当たりにし、「なぜ同じ被害が起き続けるのだろう」と感じました。人の力だけではどうにもならない困難に対し、社会の「ルール」がいかに重要かを痛感しました。その中で、アメリカでは連邦政府が「洪水保険」という制度を運営していることを知り、日本とは異なるアプローチに強く惹きつけられました。
保険は助け合いの仕組みです。一方、水害のような大きな災害では、国の関わり方も大切になります。どこまで支え合い、どこで線を引くのか。法律なら、その考え方を言葉にして、実際の制度に落とし込むことができます。私たちの暮らしの安心につながるルールを形にしたいと思い、このテーマに進みました。
「アメリカ洪水保険制度における連邦政府の役割」
◆主な業種
(1) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
(2) 金融・保険・証券・ファイナンシャル
(3) 法律・会計・司法書士・特許等事務所等
◆主な職種
(1) 法務、知的財産・特許、その他司法業務専門職
(2) 人事・労務・研修、その他人事系専門職
(3) 総務
◆学んだことはどう生きる?
島根大学法文学部法経学科の卒業生は、幅広い分野で活躍しています。
最も多い進路の一つが公務員です。特に島根県では、県庁や市町村役場の職員として、条例や規則の立案・運用に携わり、地域社会のルール作りの最前線で活躍しています。大学で学んだ法律の知識を、故郷や地域のために直接活かせる、やりがいのある仕事です。
また、企業の法務部や、銀行・保険会社といった金融機関で法務を担当する卒業生も多くいます。ビジネスの世界は「契約」という法律行為が重要だからです。
そのほか、司法書士や行政書士などの法律専門職に就いたり、新聞記者として法の視点から社会問題を鋭く追及したりと、進路は多岐にわたります。
共通しているのは、複雑な問題の利害関係を正確に読み解き、論理的な解決策を導き出す力。この力は、どのような組織でも必要とされる、一生ものの武器になるはずです。島根大学法文学部法経学科では、このような力を着実に育む環境が整っています。
人口減少や防災、国際関係など、山陰地方が抱える課題は、日本の未来が直面する課題そのものです。島根大学法文学部法経学科の強みは、こうした現実の課題を「地域」というフィールドで学べることです。少人数のゼミで教員や仲間と徹底的に議論し、法律の条文の先にある「生きた法」を探求できます。机上の空論ではない、未来をつくるための実践的な法学を学びに来ませんか。
法律や制度を調べて比較してみよう!
阪神・淡路大震災(1995年)と東日本大震災(2011年)の後で、被災者を支える法律(被災者生活再建支援法や地震保険に関する法律など)や仕組みがどう変わったかを調べてみましょう。公的な支援(公助)と、自分での備え(自助)のバランスがどう変化したかを比較し、その理由を考察してみてください。
上記は、私の研究テーマである保険とは直接関係のない本ですが、高校生に読んでもらいたい(私が高校生の頃に出会いたかった)、そんな3冊を選んでみました。
いずれも少し難しく感じるかもしれませんが、背伸びをして読むことで新しい世界が開けます。知的好奇心を刺激してくれるとても興味深い内容なので、ぜひトライしてみてください。
| Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 経済学 |
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| Q2.一番聴いている音楽アーティストは? Mrs. GREEN APPLE / ビターバカンス |
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| Q3.感動した/印象に残っている映画は? ショーシャンクの空に |
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| Q4.好きな言葉は? 神は細部に宿る |

