刑事法学

市場での競争

グローバル化する市場で、自由な競争を実現する制度とは


高山佳奈子先生

京都大学 法学部(法学研究科)

出会いの一冊

自由からの逃走

エーリッヒ・フロム(東京創元社)

どうしてナチスによる大虐殺が起きてしまったのか。ナチスに加担した一般の人々のような人生を送らないために。悔いのない人生を送るために。

こんな研究で世界を変えよう!

グローバル化する市場で、自由な競争を実現する制度とは

「同じ条件で競争すること」が重要

私の専門は刑法です。刑法というと、殺人罪や詐欺罪のような、どこの国でも処罰される典型的な犯罪が頭に浮かびます。しかし、それ以外にも、駐車違反や民族差別のヘイトスピーチのように、犯罪として扱うかどうかが国によって違う行為もあります。

難しいのは、社会に対する害の比較的小さい行為や、「ルール違反」以外に問題のない行為、軽い刑罰よりも巨額の経済的負担を課すほうが効果的な行為などです。

たとえば、スポーツ競技ではドーピングが禁止されますが、「コーヒー」は競技能力を高めるとしても禁止されません。一度禁止された「育毛剤」が禁止されなくなったこともあります。ここでは、選手全員が「同じ条件で競争すること」が重要です。

自由な競争が社会全体の利益に

さて、社会科でも勉強する「市場」での競争はどうでしょうか。市場では、アダム・スミスが「神の見えざる手」と言ったように、参加者の自由な競争が社会全体の利益にもなります。

ところが、ある参加者が他の参加者をだましたり追い出したりすると、「自由な競争」自体が確保できなくなります。どの範囲の行為を禁止するのか、また禁止行為に対してどのような措置をとるのかについて、アメリカ、ヨーロッパ、中国、日本と、それぞれ異なる制度で臨んでいます。

しかし、経済取引はグローバル化しています。国際社会全体の利益になるような制度を設計するためにはどのような観点が必要か。お互いのやり方の長所と短所を研究して明らかにしていきます。

高山先生の著書
高山先生の著書
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

小中学校でいじめが起きているのを見て、自己肯定感の低い人が加害者になることにどのように対処すべきかに関心を持ちました。高校生のときはジャーナリスト、大学受験時には公務員としてこの問題にかかわることを目指していましたが、法学部で勉強するうちに、自分には研究が向いているのではないかと感じて、大学院に進学しました。当初は女性研究者があまりおらず、苦労もありましたが、現在では徐々に仲間が増えてうれしいです。

高山先生の著書。イラストも描いています。
高山先生の著書。イラストも描いています。
先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「市場の刑事規制におけるグローバル化の諸課題」

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高山先生の著書
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学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 法律・会計・司法書士・特許等事務所等

(2) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等

(3) 大学・短大・高専等、教育機関・研究機関

◆主な職種

(1) 法務、知的財産・特許、その他司法業務専門職

(2) 大学等研究機関所属の教員・研究者

(3) その他

◆学んだことはどう生きる?

研究者大学院の出身者は、留学生も含め大学の先生になっています。法科大学院出身者は裁判官・検察官・弁護士として、実務をリードする活躍をしています。国家公務員になっている人も何人かおり、それぞれの省庁で法律や政策の立案に携わっています。

どの進路も、少しずつ日本や世界のあり方を動かしている、責任ある仕事です。平和や人権の実現のため、刻々と変わる人類社会の情勢を舵取りする重要な役割が担っています。

先生の学部・学科は?

京都大学ロースクールはアジアでトップの教育水準を誇っています。単に司法試験の合格率が高いのではなく、将来の法曹界をリードする人材の育成に力を入れています。

また法学部からのそれ以外の進路としても、公務員、マスコミ、出版業界、政治家、お笑い芸人、映画監督、小説家など多岐にわたっています。他学部も含めて、全世界から集まるユニークな人や生物との出会いがいくらでも得られるのが京大の魅力です。

先生の研究に挑戦しよう!

環境を守るために、地域でどのような取組みがなされていて、どのような効果が上がっているか、また課題となっているのは何か、地方自治体の行政としてなされているものと、民間団体が行っているものとの両方を視野に、調べてみよう。場所によってかなり大きく違うはずです。

中高生におすすめ

絞首刑を考える(公開動画)

大阪弁護士会

世界で死刑を執行しているのは約20か国ですが、日本以外の国では薬物注射による執行が増えています。法務省の調査によると、日本では近年、「死刑になりたい」と考えて無差別殺傷事件を起こす犯人が一定割合でいます。しかし、死刑の実態を知っている人はあまりいないのではないでしょうか。

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犯罪と刑罰

チェーザレ・ベッカリーア(東京大学出版会)

18世紀の経済学者によって書かれた本。裁判員になるかもしれないみなさんに、どうして人が人を裁くことができるのかがわかる。


方法序説

ルネ・デカルト(岩波文庫)

他人の顔色やデマに流されずに、自分を信じて生きて行くヒントになる。あなたは、自分を信じていい。

一問一答
Q1.感動した/印象に残っている映画は?

『ベルリン・天使の詩』(『PERFECT DAYS』のヴィム・ヴェンダース監督、1987年)。限りある命の尊さを感じる。

Q2.学生時代に/最近、熱中したゲームは?

UFOキャッチャー(1990年代)。ぬいぐるみが増えすぎたので学生さん達に差し上げた。

Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

芸能プロダクションの派遣アルバイト。長渕剛さんの「とんぼ」などに参加。

Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

ラテンダンス。言葉のわからない初対面の人とも踊れる。


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