「光ピンセット」でナノ粒子を自由に操作しよう
光が物を動かす!
私たちのまわりには、太陽、照明、スマートフォンの画面など、いろいろな「光」があふれています。
実は、光には物に力を加える性質があります。とても小さな力なので、普段の生活では感じることはできません。しかし、宇宙空間やミクロな世界のように、弱い力でも物が動く環境では、大きな意味を持ちます。例えば、太陽光の力を大きな帆で受けて推進するヨットを宇宙空間で飛ばそう!という研究があります。
分子や微粒子をつかむ「光ピンセット」
私は、目に見えないほど小さな分子や微粒子を、光の力を使って動かす研究をしています。手ではつかめないような小さな物を、レーザー光を使って集めたり、並べたりします。この技術は「光ピンセット」と呼ばれています。アーサーアシュキン博士がこの技術を開発し、2018年にノーベル物理学賞を受賞しました。
集光点にできた小さな容器に微粒子を閉じ込めて
現在は、温度によって性質が変わる「温度応答性イオン液体」という液体を使っています。この溶液にレーザー光を当てると、局所的な加熱と光の力により、集光点にだけ「液滴」と呼ばれる小さな容器ができます。液滴の直径は10 µm程度(髪の毛の直径の1/10程度の大きさ)で、その中に分子やナノ粒子を集めて閉じ込めることができます。少量の物質でも特定の場所に濃縮できるため、非常に効率よく分析することが可能です。
将来的には、タンパク質などの生体分子を分析する技術に応用したいと考えています。光の力で分子を思い通りに動かす―そんなSFのような世界を目指しています!
化学を専攻するつもりで大学に入学しましたが、2年次のコース選択時に、応用物理の先生の「研究に境界はない。応用物理では、物理をベースに化学や生物の研究も行う」という言葉に惹かれ、応用物理コースへ進みました。
その結果、現在はレーザーや顕微鏡を用いたナノ・マイクロ領域の化学研究に取り組んでいます。進路には自身の興味に加え、人との出会いがとても重要だと感じています。
「温度応答性イオン液体の単一微小液滴を利用したナノ物質の光操作」
◆主な業種
(1) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品
(2) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
(3) 小・中学校、高等学校、専修学校・各種学校等
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 設計・開発
(3) 中学校・高校教員など
大阪公立大学理学部化学科には、20を超える研究室があり、無機化学、物理化学、有機化学の大きく3つの分野に分かれています。教員は、化学だけでなく、薬学、生物物理学、応用物理学など、さまざまなバックグラウンドを持っており、研究分野も多様です。たとえば、有機合成、錯体合成、スピン化学、結晶化学、光化学、レーザー化学、ナノ・マイクロ化学、人工光合成、計算化学など、幅広い分野の研究に取り組むことができます。
| Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 応用物理か化学でしょう。 |
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| Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 台湾。5年半程度、台湾の大学で働いていました。小籠包など、ご飯がとてもおいしいです。 |
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| Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 少しですが、データ解析のプログラム作成をしました。 |
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| Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 子供と公園巡り。遊具は、単純な原理で子供の興味を引くように設計されていて面白い。 |

