生成AI時代の言語論
大澤真幸、松尾豊、今井むつみ、秋田喜美(左右社)
上記の本に限らず、松尾豊先生の著書では、人工知能(AI)が、人間世界やその見方をどのように変え得るのか、新しい視点に気づけると思います。
例えば、これまで建築設計には、絵の上手な人が、頭の中に思い描くデザインを手やコンピュータ設計支援ソフトを使って表現するというイメージがあったかと思います。しかし、これからは、頭の中に思い描くものを言葉(プロンプト)で生成AIに与えて、生成AIに表現させれば、設計者自身は絵が下手でも問題ありません。
その代わり設計者に重要なのは、言語能力になります。もちろん建築設計には、他にさまざまな技能が必要ですが、これまで重要だったものが、そうでもなくなり、別のものがより重要になる可能性は、多分にあると言えます。
建築照明や光環境の設計にVRを活用しよう
これまでは縮尺模型で実験
一般消費者向けのVRヘッドマウントディスプレイが登場して、さまざまな分野でVR技術の利用が増えてきました。
建築光環境・建築照明の分野では、これまで縮尺模型で建築空間の評価実験を行っていましたが、VRを使いたいという学生が現れました。それで、建築空間の3DモデリングとVRを使って研究を始めました。
そもそも現実感って、どうやって測ったらいいの
同じ頃、学内の研究交流会を通して、システム情報科学や数学の教員と、建築業務を支援するVRの利用という共同研究をすることにしました。それは続いて、コンピュータビジョンでバーチャル世界に人間を入れるデータ駆動型の方法という共同研究や、人工現実環境における視覚情報の現実感尺度の開発という研究に発展しました。
前者の共同研究における私の役割は、VR空間に入れたデジタルヒューマンの現実感を評価することでした。そこで、そもそも現実感って、どうやって測ったらいいの?という疑問が湧き、後者の研究を始めました。さらに学生からVRやMR(複合現実)に関する新しい提案が出てきて、現在に至っています。
都市・建築分野では、デジタル技術の利用が広がる
VR空間の現実感を探ることは、人間が世界をどのように捉えているかを探ることでもあります。一方、都市・建築分野では、BIM(建築情報モデリング)やAIなどデジタル技術の利用、データ駆動型の考え方が少しずつ広がっています。
コンピュータビジョンの活用を通して、人間と機械(コンピュータ)が協働する未来に貢献したいと考えています。
小さい頃から絵を描くことや理科が好きで、大学では科学的側面と芸術的側面を持つ建築学を専攻しました。その後、画像工学にも関心を持ちました。
高校生の時は無限級数が感覚的にわからず、数学が苦手になりましたが、『100年の難問はなぜ解けたのか 天才数学者の光と影』という本に出会い、数学は面白いと思いました。絵を描くことが主に感性、画像工学が主に数学とすれば、今の研究は、その両方を含んでいると考えます。
「VR-HMDの人工現実環境における視覚情報の現実感尺度の開発」
◆主な業種
(1) 建設全般(土木・建築・都市)
(2) 不動産、賃貸・リース
(3) 自動車・機器
◆主な職種
(1) 設計・開発
(2) 製造・施工
| Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 在外研究でフランスのリヨンに住んだことがあります。初めはいろいろ大変でしたが、もう一度住んでみたいなと思います。 |
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| Q2.感動した/印象に残っている映画は? 『エジソンズ・ゲーム』:電気の時代の幕開けを知ることができます。 |
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| Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 小学生の時、理科の授業で鉱物に興味を持ちました。大人になって、小さな石を集めています。 |
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| Q4.好きな言葉は? 今は「fusion」。和訳は融合、融解、音楽ではジャンルの異なる音楽形式の融合、料理では異なる国や地域の食材を融合して作る無国籍料理を意味します。研究も異なる分野が融合して、研究対象は同じでも、観点の異なる研究者が一緒に取り組むと、面白くなることを実感しています。 |

