人間はどこから来て、どこへ行くのか?
宗教的寛容を目指す
私の研究は、イギリスの宗教哲学者ジョン・ヒックの「宗教多元主義」をベースにしています。
ヒックは、この世界(現象界)において様々な宗教(信仰)が存在しているという事実を理論的に提言して西洋のキリスト教絶対主義に「否」を唱えた人物です。
宗教多元主義は宗教的寛容を目指します。私の父(間瀬啓允:慶応大学名誉教授)がジョン・ヒックの愛弟子で日本に「宗教多元主義」を伝えました。遠藤周作の『深い河』の最終章は、父がヒックの宗教多元主義の話を、遠藤周作が主宰する「月曜会」で話した後に執筆されました(1)。
死後の世界の答えのない問い
今回私が取り組んでいる研究は、死後の世界の多元性(パレスカトロジー:Pareschatology ヒックの造語)についてです。「人間はどこから来て、どこへ行くのか?」という、誰しもが一度は問う根源的な問題に挑んでいます。
人間は100%死にます。これは科学(エビデンス・経験知)によって立証されます。
しかし、死後についての問い、はたして死者(死・死体ではありません)は存在するのか?魂の永遠性とは?死後の世界は存在するのか?死後の世界も多元的でありうるのか?このような答えのない問いに対して数理によって解を見出すことは困難です。
宗教者の語る物語や芸術にヒント
そこで、宗教者の語るナラティブ(語り)、幽世、常世国、天国や地獄、浄土、涅槃などの物語に注目しました。もちろん死後の世界を表現する芸術(お能、声明、装束、絵画や音楽など)からもヒントは得られます。
答えのない問い、どうにもならないことに対処するには、感性・直観が大切。見えないものを見る力、あるがままを受け入れるという人間の底力が試されるのです。
参考文献
(1)遠藤周作『「深い河」創作日記』講談社 1997年 24-25頁
高校時代、バレリーナを志していた従妹が脳死状態で亡くなりました。身近な人の死の体験は今も忘れません。
大学受験までずっとピアニストになるという夢をもっていました。音楽は言葉を超えて人の心に伝わると信じています。
宗教多元主義から発展して、今はホスピスボランティアの資格を取って「音楽死生学」というハープと歌声の祈りで終末期患者を看取る(旅立たせる)死生学について研究を進めています。
「患者を看取った諸宗教者の「死の語り」に関する研究ー宗教多元主義の理論と実証ー」
◆主な業種
(1) ホテル・宿泊・旅行・観光
(2) 保育・幼稚園等
(3) その他
◆学んだことはどう生きる?
宗教学を学んで私のゼミに入って卒業した学生は、とてもバラエティに富んでいます。
武士道を卒業論文で扱った学生は、アメリカで武道を教えています。ホスピスについて扱った学生は冠婚葬祭の会社、イスラームの服装について書いた学生はファッション業界、茶道について扱った学生は銀座のお茶屋さんで働いています。教師になった学生、留学した学生、皆それぞれの道を歩んでいます。
桜美林大学はキリスト教を建学の精神とする、神に与えられた一人ひとりのいのちの尊厳を大切にする大学です。そして、キリスト教に加えて他宗教について学ぶことが出来る大学です!
自分の興味を持っている国、行きたい国の宗教について調べるところから始めてください。
また現代はグローバル時代といわれて「多文化共生」といろいろなところで言われていますが、まずはなにが「多文化共生」なのか、身近なところから考えることが必要です。
例えば、他宗教の人々と食事をする際に、どの宗教を信じる人は何を食べてはいけないのか、それはなぜなのか、調べてみるところからはじめてみてはいかがでしょう。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 医学 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? インド。多宗教の人々の死生観を学びたいから。 |
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Q3.好きな言葉は? Believe in what you do, Do what you believe in! |