医療には、まだ明らかになっていない問題点がたくさんあります。医薬品の副作用や効果の個人差も、その一つです。私は医薬品の効果や副作用について、薬物の血中濃度で予測する方法の研究を研究しています。
また、薬の効き目の個人差については、患者の遺伝子の解析によって、より安全な治療をすることが可能です。そのため、薬物投与前にSNPs(スニップス)という個人差を生み出す遺伝子を検出し、迅速に診断することを進めています。
今後は、iPS細胞を用いた効果・副作用予測や、医薬品による肝障害・腎障害・皮膚障害の予測と対策が期待されます。
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「10.薬」の「37.薬理・薬物動態、臨床薬学・検査」
一般的な傾向は?
●主な職種は→病院(医師、薬剤師、看護師)、大学教員、政府機関
●業務の特徴は→医療現場で活躍したり、医学部や薬学部の学生を教育したりしています。
琉球大学医学部は、沖縄県の置かれた自然的、地理的及び歴史的特性をふまえ、島嶼環境に由来する困難な地域保健医療の充実や、地域特性に根ざした医学・医療の課題解決に努めるとともに、アジア・南太平洋地域を中心とする、南に開かれた国際性豊かな医学部を目指しています。
沖縄県には残念ながら薬学部が存在せず、全国の都道府県の中では最も薬剤師が不足している県の一つです。琉球大学病院薬剤部では、患者さんに頼られる「顔が見える薬剤師」を育てるために、薬学部実務実習生を積極的に受け入れ、同時に若手薬剤師の教育も重点的に実施していきたいと考えています。
また、何らかの理由で一時的に離職している薬剤師の先生が、不安なく職場復帰できるようなサポート体制の充実も、沖縄県薬剤師会・沖縄県病院薬剤師会と連携して、進めていきたいと考えています。このすばらしい沖縄県の環境の中で、患者さんにより良い薬物療法を提供できるように、薬剤部一丸となって努力しています。
我々の研究で、薬の効きの良さや副作用の有無が、患者さんの遺伝子と関係があることがわかってきました。琉球大学病院では、最新の遺伝子解析技術と薬物血中濃度解析の技術を組み合わせて「この患者には、この薬を投与すると効き目が高い!」とか「この薬を投与すると、重い副作用が出る可能性があるので、別の薬を選択しよう!」などの情報を薬剤師が提供できるように、研究を進めています。
琉球大学病院では、医師・薬剤師・看護師・検査技師などがチーム一丸となって、患者さんが早く元気になるよう取り組んでいます。琉球大学医学部の学生さんは、早い段階で医療現場に触れる機会があり、薬剤部にも医学部5年生が毎週臨床実習に来ています。
【テーマ例】
・薬をしっかり飲んでいるかのアンケート調査
・肝臓での薬の変化(を試験管内で実験)
・副作用の原因となる遺伝子の研究