脳の病気にも関わるグリア細胞の働きを調べる
神経細胞だけでは説明がつかない脳機能
ヒトの脳は、1000億を超える神経細胞が複雑なネットワークを形成し、運動や情動、記憶や学習など、様々な生命現象を調節しています。
これまでの神経科学研究は、ゴルジ博士とカハール博士の大論争を端緒に、電気信号を伝えるメカニズムや神経伝達物質の同定など、数多くの発見がなされてきました。その一方で、複雑な脳機能は、神経細胞の理解だけでは説明がつかないことも明らかとなってきました。
グリア細胞は神経細胞を支配する「主役」
ヒトの脳は神経細胞以外にも、様々な細胞が存在しています。中でも、グリア細胞は、神経細胞の10倍近く存在すると見積もられています。
最近まで、これらグリア細胞は、神経細胞の機能を補助する支持細胞、すなわち「脇役」として考えられてきました。しかし今世紀に入ってから、グリア細胞は決して脇役ではなく、むしろ神経細胞を裏から支配する「主役」になりうるのではないか、という学説も活発に議論されるようになってきました。
脳の発生・老化・恒常性維持を調節
私たちの研究室では、これらグリア細胞がどのようにして脳の発生・老化・恒常性維持を調節しているか、またグリア細胞の異常がなぜ脳神経疾患や脳機能障害につながるか、遺伝子改変マウスを用いた分子生物学的手法を用いて検証しています。
特に、グリア細胞が、神経細胞だけでなく、脳の血管や髄膜の機能制御にも関わるのではないかと考え、詳細な解析を進めています。現在、研究室の学生さんたちと一緒に、一般の人からも興味を持ってもらえるような発見を目指し、日々の研究に取り組んでいます。
博士課程の時、将来どのような研究を展開したいか考え、未解明の領域が多く残されていた神経科学の分野に興味を持ちました。学位取得後は、神経細胞カルシウムチャネルの研究を行っている研究室(スタンフォード大学)に留学しました。神経科学のなかでもグリアに本腰を入れ始めたのは、それほど昔ではなく、国際共同研究でグリアの研究を行っている研究室(デューク大学)に客員研究員として留学させてもらったことが転機です。
◆主な業種
(1) 薬剤・医薬品
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
◆学んだことはどう生きる?
博士号、修士号を取得して、製薬企業の研究開発職に就職する人が多いです。情報通信、メーカーに就職する学生もいます。私の研究室では、神経科学、分子生物学を中心とした研究に従事しており、製薬の研究開発職は、大学院で学んだ知識や技術がそのまま活かされます。また国内外の大学・研究所での基礎研究者を目指している学生もいます。
筑波大学の生物学類は、動植物、昆虫、生態、微細藻類など、生物学全般を網羅した国内最大級の学科です。入学後に専門コースに振り分けられることが特徴で、医学部の授業が受けられる人間生物学コース、英語授業のみで卒業できるGloBEコースなど、他大学にないユニークなコースも準備されています。
生物学類の学生さんは、いい意味で「変な」学生さんが多いことでも有名です。将来、皆さんも生物学類に入学して、「変な」学生さんとなって、生物学を楽しんでもらえたら嬉しく思います。
サイエンティスト・ライブラリー~ 日本の生命研究を築いた研究者の一覧 ~
JT生命誌研究館
JT生命誌研究館のHPで公開されている研究者の先生方のエッセイです。本HPで紹介されている方は、全員、歴史に残る発見をされた先生方で、神経科学を専門にしている先生方も数多く登場しています。一読して、研究の魅力に触れてもらえれば嬉しいです。
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Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 医学・情報科学 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? アメリカのパロアルト(天気がいいので) |
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Q3.感動した/印象に残っている映画は? レナードの朝(神経科学に関連した印象に残っている映画です。原作者のオリバーサックスも神経科学者/医者です) |
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Q4.大学時代の部活・サークルは? 剣道部(剣道三段、居合道初段です) |