現在主流のシリコン系太陽電池に対し、次世代太陽電池として注目されているものに、色素増感太陽電池があります。この太陽電池は、金属酸化物の酸化チタンの表面に色素を塗ることで、光を電気エネルギーに変換する太陽電池です。簡単な材料で低コストに製造できるというメリットがあります。2016年、スイスの大学のチームが15%のエネルギー変換効率を達成したと報じられました。
ただし問題は発電パネル基板の大面積化です。太陽電池の1枚のパネルは、面積が大きくなるほど変換効率の向上が難しくなります。色素増感太陽電池が実用化されるための大きな課題です。
シリコン型太陽電池パネルの大きさをはるかにしのぐ
私は大面積の薄膜材料の研究に取り組んでいます。そのためにスプレー熱分解という薄膜形成法を開発しました。ガラス基板の上に、酸化スズと酸化インジウムを噴きつけると透明導電膜が形成されます。一般にガラスは絶縁体ですが、これによって電気が流れる大面積のガラスを作ることができます。その方法で、30cm×30cm基板の導電薄膜を作ることに成功しました。次に同じ方法で酸化チタンの色素増感太陽電池を作ることを確認しました。
この900c㎡という大面積は、すでに太陽光パネルとして普及しているシリコン型太陽電池パネルの大きさをはるかにしのぐものです。将来的には大量生産化に向けての技術として期待されます。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→製造業
- ●主な職種は→開発、保守管理
分野はどう活かされる?
卒業研究の内容をそのまま踏襲するケースは少ないですが、研究経験を生かした開発業務に携わっています。具体的には、システムエンジニアリング、新製品の企画・開発、製造ラインの設計・管理などに従事しています。
工学部のモットーである「モノづくり」が好きな人、興味がある人はぜひ集まってください。