知能機械学・機械システム

柔らかい材料を使ったソフトロボティクス研究


平井慎一 先生

立命館大学 理工学部 ロボティクス学科/理工学研究科 機械システム専攻

どんなことを研究していますか?

人の住まう環境で人と共同して動くロボット研究が盛んになっています。医療や介護、エンタテインメントなど、人の近くで活躍するロボットには、人と衝突しても安全なボディを設計する必要があります。そのために有効なのは、ボディを柔らかく軽い材料で作ることです。このような新しいタイプのロボット工学研究を、ソフトロボティクスといいます。

3Dプリンタで柔らかいロボットハンドを製作

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私はソフトロボティクスを専門に、ゴムやプラスチック、繊維を用いた構造材、センサやアクチュエータという小さな駆動装置についての研究を進めています。例えば、柔軟な指先センサを開発しました。永久磁石と磁界を検出できるあるデバイスとを組み合わせて小型のセンサを作り、ロボットハンドの柔らかい指先に埋め込んだものです。また3Dプリンタで柔らかいロボットハンドを製作し、柔軟な物体のハンドリングするプリンタブルハンドというものを開発しました。

これまでロボットや機械システムが追及してきたのは、精度やスピードですが、私は、人の活動する環境で動く能力を追求しています。そのために、柔らかく軽い材料でロボットを作ることを目指しています。

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研究室の様子

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種→製造業です。電機、自動車、消費財、生産機械など、様々な業種に就職しています。
  • ●主な職種→開発や生産のエンジニアです。
分野はどう活かされる?

機械、電気電子、材料、情報という様々な分野を統合するシステムインテグレーションの能力を活かしていると感じます。

先生から、ひとこと

大学には、様々な学科・学部があり、多くの教員が多種多様な研究を進めています。いろいろな分野に好奇心を持ってください。

先生の学部・学科はどんなとこ

立命館大学は、様々な学部と研究科を有する総合大学で、複数のキャンパスから成ります。理工学部のある、びわこ・くさつキャンパスは、ほかに、情報学、生命科学、薬学、経済学、スポーツ健康学、食マネジメント学に関する学部を擁しています。

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展示会にて。学生たちは自分たちの研究を来訪者に説明しています。

先生の研究に挑戦しよう

・輪ゴムハンドを試す
三本の指に輪ゴムを掛けます。対象物の周囲を輪ゴムが囲むように指を配置します。指どうしの間隔を狭めて、輪ゴムを対象物に当てます。このとき、指は対象物に触れないようにします。指を持ち上げて、輪ゴムで対象物を持ち上げることができるか試しましょう。どのような対象物を持ち上げることができるでしょうか。

・風船ハンドを試す
二個の風船を膨らませます。風船を左右の手で持ち、対象物を風船で挟みます。そのまま手を上に動かし、風船で対象物を持ち上げることができるか試しましょう。どのような対象物を持ち上げることができるでしょうか。

興味がわいたら~先生おすすめ本

アトムの足音 これぞ世界に誇る科学の力

中野栄二:監修

ロボティクス(知能機能学)のほとんどの分野をカバーしている。少し古い本だが、一読するとロボットとは何か、ロボティクスが何をめざしているのかがわかる。夢物語としてのロボットを実際にどのように実現するのか、方法論は様々だが、研究者の奮闘を感じられるだろう。 (数研出版)


絵でわかるロボットのしくみ

瀬戸文美、平田泰久

ロボットを工学的に解説。ロボットの移動形態、アームやハンド、各種センサや制御など、要素の説明に始まり、生活支援ロボットや手術ロボット、レスキューロボットなど様々なロボットを紹介している。専門的な内容もあるが、「絵だけでも」わかるように、たくさんのネコたちが解説を務める。かわいいイラストが楽しい。 (講談社サイエンティフィク)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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