知能機械学・機械システム

ロボットが人間と共存する時代の到来


松日楽信人 先生

芝浦工業大学 工学部 機械機能工学科/理工学研究科 機械工学専攻

どんなことを研究していますか?

人工知能やロボット工学の進歩によって、ロボットが人間と共存する時代の到来が、現実的になってきました。これまでロボットは製造業でものをつくる工場用ロボットとして普及してきました。少子高齢社会になり、今後は非製造業分野においてもロボット技術がますます必要となるでしょう。そこで重要なことは、ロボットシステムのコンセプトをどう設計するのか、さらにロボットは人を中心として機能すべきであるということです。つまり人を中心(セントリック)にロボットとの共存を考える「ヒューマンセントリックロボティクス」を常に考える必要があります。

私は人と共存するロボット=ヒューマンセントリックロボティクスの研究をしています。人の動作に機械が合わせるような技術、人の行けない場所や時間でも人の代わりに作業する技術、いろいろな場面でロボット技術が活躍する社会になっていくと思います。

たくさんのロボットが協力しあい見守りや災害現場で活動

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また、ロボット単体ではなく、たくさんのロボットが協力して生活が支えられるような社会になると考えています。最近、サービスロボットの通信技術の標準化が急速に普及しつつあります。これを使うと、だれでもどこからでもロボットを遠隔操作することができます。またメーカーの異なるロボット同士が通信しあうことも可能になります。例えば、インターネットを通じてお天気情報や災害情報を共有しながら、たくさんのロボットが、地域で高齢者の生活の支援、または、災害現場での探索、復旧など協力しあい活動することができるでしょう。

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学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→自動車、鉄道、電機、介護機器、農業機器、公務員
  • ●主な職種は→開発・設計
  • ●業務の特徴は→ロボット、メカトロニクス開発・設計
分野はどう活かされる?

ロボットはメカニズム、コントロール、センサ、プログラミングなどいろいろな技術が必要で、いろいろな産業機器や生活支援機器に応用されます。このために卒業生の就職先も広範囲に渡っています。特に、保守・点検用のロボットやメカトロニクス機器の開発、車両の評価実験などです。

先生から、ひとこと

これからは建物や街がまるごとロボット化されていくと思います。そのような社会をイメージして、皆さんがやりたいことを目指して勉強してください。

先生の学部・学科はどんなとこ

文科省のスーパーグローバル大学として国際化に力を入れていますので、ほとんど学生が海外への留学体験を持つようになると思われます。また、ブランンディング事業に採択され、アーバンエコモビリティのコンセプトのもと、地域の課題を解決するための演習や研究を、他の研究室や他の大学、研究機関と連携して進めています。学生はその中で、地域の人や企業、他大学の人と交流したり、いろいろと実学的な体験したりしています。学内では、機械工学科、機械機能工学科、電気工学科、情報工学科、デザイン工学科の先生で連携した研究を行い、学会発表したり、地域の展示館や国際ロボット展などでデモを毎年、共同で行ったりしています。

先生の研究に挑戦しよう

・高齢者、障害者の生活支援のための福祉・介護機器を提案してみよう。
・身近な場所で役立つ、ロボット、メカトロニクス機器を提案してみよう。

興味がわいたら~先生おすすめ本

わかりやすい ロボットシステム入門 メカニズムから制御、システムまで

松日楽信人、大明準治

知能機械としてのロボットは、非常に多くの学問分野から成り立っている。機械、電気、電子、情報、通信、材料。他にも、生物、人間工学、医学、さらには社会学、倫理学なども関連するだろう。このような様々な学問との関連性も含め、「知能機械学・機械システム」の学問領域の基礎となる部分がシステム的に書かれているのがこの本だ。ロボットシステム全体の仕組みがわかりやすいよう、多くの写真や、これまで著者が開発してきた裏話を載せられている。そして、ロボットのキーワードが多く書かれている点も特色だ。高専や大学生用の本だが、ロボット技術に興味があれば高校生でも問題なく理解でき、そしてきっともっと勉強したいと思うようになるだろう。 (オーム社)


テレロボティクスから学ぶロボットシステム

松日楽信人

テレロボティクスは遠隔操作ロボットのことであり、人は安全な場所からロボットを操作ができる。手術など人間の判断による臨機応変な作業が可能だ。著者は、これまでに宇宙、原子力、電力、医療など様々な遠隔操作ロボットシステムを開発してきた。これらのシステムがわかりやすく紹介されている。この本を通して、人間の判断機能の重要さを再認識することで、今後、AIがどのようにロボットに関わってくるかを学ぶことができる。 (講談社)


ロボット創造学入門

広瀬茂男

著者は、これまでに様々な用途のヘビ型ロボットや四足歩行ロボットを開発しているロボット開発の第一人者の一人だ。本書では、地雷探知除去ロボットを中心に、原子炉内の検査や瓦礫内の探査を行うヘビ型ロボットなどの開発の過程を解説しながら、将来のロボットについて語っている。ロボットを創るために必要な創造的思考法もわかる。中高生を対象としているが、大人も十分に楽しめる。 (岩波ジュニア新書)


ロボットはなぜ生き物に似てしまうのか

鈴森康一

巨大ショベルカーはゾウに似ている。自走するお掃除ロボットは「生きた化石」と似た動きをする。ロボット設計者は、ロボットのお手本として生物の設計に興味を抱いてしまうと言う。それは意識せずも、ロボットが生き物に似てしまうからだ。ロボット作りを続けてきた研究者の視点から、生き物とロボットのメカニズムを比較、さらに、生き物を超えるロボット機構学の今後について考察する。 (ブルーバックス)


失敗学のすすめ

畑村洋太郎

工学博士で、失敗学の提唱者である畑村先生の本。失敗を恐れたり隠したりせず、失敗をポジティブに活用することの大切さを学ぶことができる。人は失敗するもので、成長過程での「よい失敗」はつきもの。その失敗をどう次に活かすか。また、怠慢や不注意から来る「悪い失敗」はいかに減らすか。世界の歴史上の大きな失敗例も紹介。本書は工学の観点で、製造や設計に関わる失敗をテーマとしているが、個人や会社組織でも十分通用する。 (講談社)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/総合科学技術・イノベーション会議の調査事業の一環としても、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。
各先生の所属など、掲載されている大学(学部・学科ほか)の名称は、2020年1月段階の調べによります。実際の進路選択等に際しては、各大学のHP等で改めてご確認ください。

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