遠隔地への講義のサテライト授業やeラーニングと呼ばれる形式の授業など、近年、コンピュータを利用した教育が盛んになってきています。これまで、人工知能の技術などを活用して効果的な学習を行うことができる学習支援システムが開発されてきました。
このような学習支援システムは、コンピュータに向かって学習を進めるのが一般的でした。しかし、近年、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった新しいインタフェース技術が開発されて、いろいろな分野で活用されはじめてきました。私たちは特に現実空間と仮想空間を重ね合わせるARの技術を利用して、学習者にとってより良い教育支援システムをどのように開発したらよいか研究を進めています。
ARを活用して自転車運転の指導をいかに行うか
私が住んでいる香川県は、人口当たりの自転車事故件数が全国トップクラスとなっています。平成27年度より、自転車の不適切運転への対応を強化する法律改正も行われました。このような社会状況を踏まえて、自転車運転の指導へのARの技術活用を考えました。
具体的には運動場などでAR眼鏡を通して仮想道路を表示して、そこで自転車運転の指導を行うというものです。この研究は適切に自転車運転の指導を行うだけでなく、違和感なく仮想道路が見えるようにできるか、また、当然ながら安全に使用できるためにどうしたら良いかなど、数多くの問題をクリアしないといけません。開発した試作システムはまだまだ実用には遠いのですが、開発を通じて得られたノウハウはARを活用した教育システム研究に活かせると思っています。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→コンピュータを活用する様々な業種
- ●主な職種は→システム開発者、システムインテグレータなど
- ●業務の特徴は→ソフトウェア開発能力を活かした業務
分野はどう活かされる?
対象となる領域の問題点を明らかして、具体的にシステムの設計・開発を行っています。
これまでも中学校や高等学校の生徒さんから、研究内容や関連事項について電子メールでお問い合わせいただいたことがあります。教育システムに興味がわいたら気軽にhayashi@eng.kagwa-u.ac.jpまで電子メールください。
創造工学科には教育システムに関わる研究に従事している教員が、7~8名在籍しているので、卒業研究では学習支援システム関連の研究に取り組む人が多いです。学科の専門教育では、学習支援システムに関わる基礎的知識として、プログラミング、ヒューマンコンピュータインタラクション、人工知能などを修得できます。