リボン、ネクタイ、水引きなど、ひもを結んでできた日用品は数多くあります。また靴ひもを蝶結びする時、ちょっとしたことで縦結びになったり横結びになったりすることはよく見受けられます。これらの結び目は図形としてどのようなものなのか、それを「トポロジー」という新しい幾何学で扱った研究を「結び目理論」といいます。
結び目理論は100年ほどの歴史を持ちますが、物理学との関連もあり、21世紀になってから大発展しています。例えばドイツの物理学者ガウスは、結び目の絡み量から電磁気学を導き出しました。最近ではジョーンズという数学者が発見した結び目理論の多項式が、統計力学や量子力学と深いつながりがあることがわかり、一気に注目されるようになりました。
我々が存在する3次元空間と密接に関わる分野
私が研究に取り組むトポロジーは位相幾何学とも呼ばれており、小学校、中学校、高校で学ぶ幾何学とはまったく異なります。高校で学ぶ幾何の内容は、ほとんどが2000年以上前から存在する古典的なユークリッド幾何学と、17世紀に導入された座標を導入して対象を分析する解析幾何学です。トポロジーは20世紀になってから生まれた新しい幾何学です。その中でも私が取り組んでいるのは、我々が存在する3次元空間と密接に関わる分野です。しかしこれらは最先端の純粋数学であり、現実の社会との直接的な関係はないと言い切って良いでしょう。
一般的な傾向は?
- ●主な職種は→教員
分野はどう活かされる?
中学や高校の数学科教員として活躍しています。大学で学んだ数学は、直接的に彼らの身になっています。
数学だけを学ぶのであれば、理学部数学科へ進学するのが最善でしょう。しかし、数学科教員を目指すのであれば、私の担当する教育学部数理系コースも選択肢として考慮する値打ちがあります。