人間は、視覚、聴覚、触覚など、異なる様々な感覚器官から同時に情報を得ています。異なる感覚器官から得られた膨大な情報は、脳の中で処理されます。そのとき、異なる感覚器官から取り込まれた情報を、どのように脳の中で結びつけたり、関係ないものとして切り離したりするのでしょうか。また、それらをいかに効率的に処理するのでしょうか。私は、このような知覚処理に関する疑問を明らかにするための研究を行っています。
音の動きが光の動きを導く
視覚や聴覚などの感覚器官から得られた情報は、それらが混じりあった形で意識にのぼります。例えば誰かのことを思い浮かべると、顔だけではなく声なども心に浮かぶと思います。例えば我々が見つけた錯覚では、動いている音を聞くと、点滅している静止した光が動いて見えます(錯覚のデモ:http://www.rikkyo.ne.jp/web/souta_hidaka/SIVM.html)。
この錯覚は光が目の周辺に提示された時だけ起こるので、複数の感覚情報がそれぞれ足りないところを補い合って機能していることを、反映していると考えられます。最近では、私たちの知覚に存在する個人差に着目した研究も行っています。
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「21.教育・心理」の「87.教育心理学、社会心理学、実験心理学」
一般的な傾向は?
●主な業種は→サービス業
●主な職種は→データ分析・リサーチ
分野はどう活かされる?
心理学の研究で培った論理的にものを考える力、データを分析・解釈する力が活かされていると思います。
視覚実験のための暗室機能や聴覚実験のための防音室機能を備えた15の学生実験室をはじめ、多様な実験設備、コンピュータ、統計ソフト等を用意しています。このような充実した研究設備のもと、行動実験や脳機能計測実験を行うことができます。少人数指導に基づき、皆さんの興味・関心のもと研究に取り組んでいただくことができます。
心の問題に取り組む臨床心理学に比べ、実験心理学は世の中にあまり認知されていませんが、ものを見る、聞く、触るといった基本的な仕組みが心のあり方、皆さんが感じる世界を形作っています。是非一緒に心の仕組みを学び、研究してみましょう。
日常の中で起きている知覚にまつわる出来事、例えば月が大きく見えることがあるのはなぜか、テレビのスピーカーは決まった場所にあるのに画面の中の様々な場所から音が出ているように感じるのはなぜかなどについて調べてみることが考えられます。