ノートル=ダム・ド・パリ

ユゴー

ディズニーのアニメ映画『ノートルダムの鐘』の原作です。アニメではハッピー・エンドみたいですが、原作では、主要な登場人物は皆死んでしまうという悲劇です。ドラマチックなストーリーとともに、舞台となった1482年のパリの町の様子が手に取るように具体的に、そして細部に至るまで正確に描かれています。

少し難しく聞こえるかもしれませんが、「書物が建物を滅ぼすだろう」(第5編2)という言葉が出てきます。これを説明すれば、15世紀前半に印刷術が発明されて、活字の本が大量に流通する以前には、小説の舞台となったノートル=ダム大聖堂のような教会建築が、建物それ自身とともに、それを飾る石造彫刻、壁画や碑文、そこで演奏される音楽などの形で、ひとつの思想を表現する唯一の場となっていたということです。現在では聞かれることのない、そのような優れた洞察がたくさん盛り込まれています。 (訳:辻昶、松下和則/岩波文庫)

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