NET WALKER 危険がいっぱい!情報化社会を歩く
Psybernics 福井県警察サイバー犯罪ボランティア、編:岸俊行、安彦智史、西畑敏秀(三恵社)
現在、インターネットやSNSの急速な進展により、若者の多くが気軽にネットを利用するようになってきています。多くの人が買い物や家族・友人間のコミュニケーションといった日常的な出来事から、教育場面や行政上の様々な手続きなど、より多くのことをインターネットを介して行っています。それに伴い、ネット上の犯罪に、小さい子からお年寄りまで巻き込まれる事例も多くあり、ネット犯罪に対しての啓発が望まれます。
しかしサイバー防犯に関わるお話の多くは、知識のある人がない人へと伝えていることが多く、内容が難しすぎてわからないといったことがほとんどです。本書は、小中学生でもわかるように、ネット知識のまったくない大学生がネットの怖さを学び、それをイラストにしてまとめたものです。防犯教育で大事になることは相手に伝わる事です。大学生が子どもたちと同じ目線でネットの危険性を訴えた手作りの本です。
小中学校で、「危険に対する対処方法」をどう教育するか
日常生活は安全だと錯覚
皆さんは、日常は安全だと思いますか。実際に何事もなく生活していると危険なんてないと錯覚してしまいます。心理学では、それを正常性バイアスと呼びます。でも交通事故は毎日のように起きます。地震や津波、水害等の自然災害も頻繁に起きています。
また、殺人や強盗等の犯罪に巻き込まれる事もあります。皆さんは気軽にTwitter,Instagram等のSNSを利用していると思いますが、ネット社会でトラブルに巻き込まれることもあるでしょう。現に今、私たちは新型コロナウイルスという人類の危機に直面しています。
学校では交通安全教室や避難訓練ぐらい
実は私たちの周りは危険だらけなのです。その危険は小さい子どもからお年寄りまで平等に襲い掛かってきます。だから、私たちは危険への対処方法を学んでいく必要があります。
皆さんは学校で数学や英語等を学んでいると思いますが、「危険に対する対処方法」を学んだことはありますか。交通安全教室や避難訓練をたまにするくらいではないでしょうか。しかし、私たちの周りには危険が沢山なのです。学校で教科的な知識を学ぶことと同じくらい、危険への対処方法を学ぶことは大事なのです。
危険への対処方法を知り、より適切な判断を
今、私が取り組んでいる研究は、危険に対する対処方法を伝えるためには何を教える必要があるのか、学校教育の中で子どもたちにどう伝えていけばいいのかです。危険への対処方法を知ることが、実際の危険に直面した際に、より適切な判断をすることにつながり、さらに多くの人の命を助けることにも繋がると期待しています。
私が今取り組んでいるのは、SDGsの特定のどの目標というよりも、それらのもとになる部分の研究です。実は、私たちは常に危険と隣り合わせで生きています。地震や台風・水害等の自然災害から、殺人や強盗・詐欺等の犯罪まで、私たちの身近には脅威がたくさんあります。現に、人類は新型コロナウイルスという未知の脅威と対峙しています。
私たちがより良い未来を築いていくためには、そのような脅威に対処しないといけません。「自分の身は自分で守る」ということがより良い未来を創っていくことにつながると信じて、様々な脅威に対処することのできる教育方法を考えています。
◆先生が心がけていることは?
とにかくいろいろなことに興味を持つこと、いろいろなことを知ろうと思うこと、自分以外の誰かのために行動を起こすこと。常に何かしら、楽しいことをしようと考えています。
「小中学校において実施可能な体系化された安全・防犯教育カリキュラムの開発」
稲垣良介
岐阜聖徳学園大学 教育学部 学校教育課程
着衣泳(服を着たまま水の中を泳ぐこと)の研究、水難事故防止教育の研究をしています。とにかくアグレッシブな研究者です。実践ありきです。考えることも重要ですが、世界を動かすためには小さいことでも、まず動くことが大事だということを教えてもらいました。
大久保智生
香川大学 教育学部 学校教育教員養成課程/教育学研究科 学校教育専攻
万引き防止教育について研究しています。万引きされないための方略を考え、実際のお店などで実践しています。多様な視点で、理論だけではなく、実際に社会を動かす研究を行っています。研究者は「学問的に(科学的に)正しい」ことを追求する人が多い中で、私たちの日常生活を変えることを重要視しているところに多く学びました。
私の専門としている教育工学・教育心理学という学問は、私たち人間の心理を考え、それに基づいて教育をどのように創っていくのが良いのかを考える学問です。教育も心理も私たちの日常と切っても切り離せないほど身近なものです。そのためゼミや講義では、日々経験した出来事をきっかけに、専門的な話へとつなげています。
◆Facebook:https://www.facebook.com/toshiyuki.kishi
◆主な業種
(1)小・中学校、高等学校、専修学校・各種学校等
(2)保育・幼稚園等
(3)官庁、自治体、公的法人、国際機関等
◆主な職種
(1)小学校教員
(2)中学校・高校教員など
(3)幼稚園教員、保育士等
◆学んだことはどう生きる?
乳幼児・児童虐待を卒業研究でまとめた学生が児童相談所に就職しました。ゼミの2年間で、自ら調べた虐待事例や虐待児を取り巻く問題点への考察が、児童相談所での勤務に大きく役に立ったと聞いています。また3年間務めた後、子どもの置かれている悲惨な現状を知り、世間へと発信していくことが重要と考え、現在は仕事を辞して、東南アジアの国々を巡り子どもの現状を学んでいると聞いています。
教育学部なので、基本的に小中学校の教員を目指す学生が多いです。小中学校のすべての教科の免許を取得できるため、文系から理系、芸術系まで幅広い分野を専門とする教員が揃っています。私の専門は教育心理学・教育工学ですので、子どもたち一人一人に合った教育プログラムの立案・設計などを行っています。地域の特色を生かした教育を、どう子どもたちに提供していくのかなどを考えています。
人間の土地
サン=テグジュペリ、訳:堀口大學(新潮文庫)
郵便飛行士として生涯を終えたサン=デグジュペリが、自身の経験の中から見出した「人間としての尊厳」や「自分らしく生きること」、「友達との絆」などについて、飾ることない言葉で語りかけてくるお話です。
私は中学生の時に初めて読んで以来、辛い時、困った時などに必ず手に取って読む本です。今ではもうボロボロになっています。それでも読むたびに自分の年齢や置かれている状況によって新たな発見や学びがある、本当に魔法のような本です。
私は、この本に出合ったことで少なくとも自分の人生がほんの少し彩り豊かなものになったと思っています。これから素敵な未来が待っている多くの若い人に、読んでもらいたい本です。
バトル・ロワイアル
高見広春(幻冬舎文庫)
映画化もされ、いろいろと物議をかもした問題作ですが、是非、小説版は読んでいただきたいと思います。内容は中学生同士に強制的に殺し合いをさせるという、非道徳的であり暴力的な作品で、一時期、出版さえ危ぶまれた作品です。
確かに衝撃的な内容の作品ですが、実はその中で書かれている中学生の心理描写や行動は本当にリアルです。想像もつかないような危機的状況に陥った時の人間心理や集団圧力、そして極限状態に陥った時に取る人間の行動など、心理学の観点から見てもとても興味深いです。
人間は、「死」を目前にして、初めて「生」の部分が鮮明になるものです。死が目の前にある時、どう生きるのか、どう選択するのか、その中でどのように自分の生きてきた証を立てるのか、そんな中学生たちの感情が分かります。是非、自分だったらどう行動するのか、という点も考えながら読んでいただけたらと思います。
セクシーボイスアンドロボ(ドラマ)
原作:黒田硫黄
連続ドラマは、中学生の「ニコ」と冴えない社会人「ロボ」を通して、私たちが生きていく上で真に大事なことは何かを伝えてくれているドラマです。
全11回を通して、「ニコ」の成長物語と「大人になる」とはどういうことなのかを私たちに問いかけてくれています。どの回にもしっかりとしたテーマがあり、説教をしているような説明的なセリフもなく、物語を通して私たちに重要な事を気づかせてくれている作りになっています。決して「ながら」視聴では気づくことはないかもしれませんが、作り手側からのこれからの未来を担っていく皆さんへのメッセージが、ドラマの至る所に散りばめられています。
放送当時の視聴率はあまり良くなかったようですが、今見ても珠玉のドラマだと思います。是非、中高生の時期に全11回、見ていただきたいと思います。
Q1.感動した映画は?印象に残っている映画は? 『ライフ・イズ・ビューティフル』。家族の絆をしっかりと感じさせてくれる作品です。子どもを守るためについた嘘を最後まで貫き通す父親の姿には、本当に感動します。また絶望的状況で希望を持って生きていく姿勢にも学ぶことができます。 映画は多くの人が携わって完成します。素敵な映画は携わった人の様々な思いが込められています。映画(やドラマ)から、学ぶことはたくさんあり、きっと素敵な人生の糧になります。 |
|
Q2.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 某研究所での研究の被験者。1週間、施設から出られずに、誰とも話すことなく、ひたすらパソコンに表示されている文字と音声から聞こえてくる単語とを照合させる実験をやりました。 |
|
Q3.研究以外で楽しいことは? 子どもの成長。どんな大人になるのか、教育や心理の理論とは違う、子どもたちのリアルな変化を、毎日楽しんでいます。 |